12月のカタルーニャ州議会選挙、独立支持派と反対派が拮抗。カタルーニャ及びスペインの情勢不安は続く

勢いはあるも数的には拮抗する!?

 独立反対派の方はシウダダンス(C’s)とカタルーニャ社会労働党(PSC)がそれぞれ議席を増やして各24-25議席になると予測されている。  スペイン政府与党の国民党(PP)は11議席から6~7議席に減ると見られている。理由はその票の一部がカタルーニャで誕生した中道右派のシウダダンスに流れると見込まれているからである。  CeCはバルセロナのアダ・コラウ市長やスペインのポデーモスといった複数のポピュリズム政党が集まったグループで9-10議席と予測されている。  即ち、独立反対派の議席数は63議席から67議席の枠内で収まると推測できる。  PSCが伸びているのは理由がある。それは、もともとカタルーニャの政治を30余年担っていた政党集中と統一(CiU)が分裂して独立を強く主張する方がPDeCATを設立し、穏健派は政党を擁立したが前回の選挙で議席を獲得できず殆ど政治活動が低迷した状態であった。PSCは彼らの中から3人を候補者リストに加えることにしたのである。その結果、旧CiUの穏健派の票がPSCに向かうと予測されている。実際に、旧CiUで穏健派のリーダーで前国会議員だったドゥラン・リェイダはPSCに票を投じることを公に発表している。

止まらぬ企業の州外流出

 12月21日の投票は独立支持派と反対派で拮抗した結果に成ることはほぼ間違いない。この選挙予測を報じた上述紙のディレクターエンリック・エルナンデスはつい最近テレビ6チャンネルのある番組の中で、12月の選挙で新政権が誕生しても、政権の安定した運営に必要な議席数を確保できず、来年6月頃にまた州議会選挙が行われる可能性もあるという指摘をした。  それを既にカタルーニャの企業家は察しているのか、今も止む事なく毎日平均して50社余りが本社を州外に移転させている。10月1日から11月21日までに2655社が州外に本社を移転させている。今回の選挙で独立支持派が政権に就くようになると、企業移転がまた激しく再燃するというのが多くの経営者の意見だ。また、仮に独立反対派が政権に就いても長期の安定政権な望めないであろことから、企業の州外への移転は続くことになるであろう。(参照:「Expansion」、「El Economista」) <文/白石和幸 photo by Ginosal via wikimedia commons(CC BY-SA 2.0)> しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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