駅前の銅像と一緒に泊まれる部屋!? 「マーライオンホテル」に続く「新作」があの温泉地に

 油屋ホテルはJR別府駅の東口(海岸口)を出てすぐのところにある。駅東口を出てすぐに目に入る「白い箱」の中へ入ってみると、室内は想像以上に「ホテル」だ。  熊八氏と過ごせるリビングルーム、そしてベッドルーム、その奥にはシャワールーム、シャワートイレも備えられており、リゾートホテルのスイートルームと言っても差し支えない内装と設備。それもそのはず、油屋ホテルの室内には1904年に創業し2017年に星野リゾートに買収されて閉館した老舗ホテル「別府花菱ホテル」に設置されていた什器などが再活用されている。  西野氏は、油屋熊八氏の銅像と、同氏が活躍していた時代から営業していた老舗ホテルの内装を組み合わせることで、別府温泉に蓄積された長年の歴史を視覚化したかったという。

ホテルに「舞い降りた」熊八氏。もともとユニークなポーズであった銅像がマッチする

 室内では普段は近くで見ることが出来ない熊八氏によりそう「子鬼」の姿など銅像の細部を観察できることはもちろん、浴衣やティーカップには「油屋ホテル」のロゴが入り、室内に置かれた菓子や珈琲なども熊八氏をモチーフにしたものが提供されるなど、細部に亘ってこだわりが見える。  ベッドルームのとなりには、もう1つの目玉である「温泉露天風呂」がある。これは、駅前に常設されているモニュメントの「手湯」を利用したもの。温泉は地下から沸く源泉かけ流しだ。  油屋ホテルには週末を中心に実際に1日1組限定(応募者から抽選)で宿泊することができる。駅前ならではの電車の音、アナウンス、通勤・通学客の声、隣接するコンビニや家電量販店の音楽など、日常の喧騒に紛れたこの場所で浸かる露天風呂もまた「油屋ホテル」ならではのものであろう。
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アートと温泉に浸れる芸術祭
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