<現役愛人が説く経済学13>金持ちの長電話に付き合うのは“無料キャンペーン”として超効果的

「私は誰とも付き合う気がないし、結婚する気もないの」

 そしてその後の、久々の顧客訪問(デート)の際、彼は私のことを「本当に好きだし、愛している」とおっしゃいました。20以上も年下の女性に、ロマンチックなことをおっしゃる既婚男性の扱いは難しいのですが、ここからが愛人業の腕の見せどころでございます。  私は、「Aさんの気持ちは本当に嬉しいけど、私は誰とも付き合う気がないし、結婚する気もないの」と申し上げました。実はこのメッセージ、電話の最中もさりげなく、サブリミナルメッセージのようにお伝えしていたものです。  私が「愛している」と言わないことに、Aさんはショックを受けておられるようでした。  そこで私は続けます。 「私はあなたに、精神的に依存しています。あなたと話していると楽しいし、ずっと一緒にいたいとも思う。でもあなたが既婚者であることは最大のネックである上に、私の親も、年齢の離れたあなたとの交際は認めたくないでしょう」  要はあくまで、金銭を介した「愛人」としてお付き合いしてほしいということです。「過去に辛い恋愛をして、もう2度と特定の異性を愛すまいと決意したのだ」と、お涙頂戴のエピソードも披露したのはここだけの話でございます。  すでにAさんは、私が幾度も、無償で長電話にお付き合いして差し上げたことで、私を「なくてはならない存在」だと認識されているようでした。  他の競合女性がやらない、採算度外視の行動をとったがために、Aさんは私を「重要な商品を仕入れる主要取引先」として認定したわけです。ところが、「本当に欲しいモノをなかなか売らない」私に、Aさんは焦ります。 「一体、何をすれば東條才子を手に入れられるのだ」  答えは簡単でございます。  お金を積んで、愛人契約をしていただければよいのです。サブリミナルメッセージとして、「恋愛や結婚をする気がない」という気持ちを伝えておりましたので、Aさんと私は、体の関係なしの「プラトニックなつながり」を重視した契約を結ぶことになりました。  今では、私の生活全般を支えてくださっているAさんには大変に感謝しております。採算度外視で行動することが、結局は自己のためになる。そんなケーススタディでございました。 <文・東條才子>
1
2