湾岸諸国ではアラブ首長国連邦以外にも傭兵の需要はあるという。報酬として月給2600ドルから12000ドル、更に医療、食料、衣類、住宅も無料で、コロンビアへの里帰りで旅費も負担してくれて、45日の休暇が与えられる場合もあるそうだ。
しかし、傭兵としては米国、英国、ドイツ、イスラエルの軍人の方がより高い報酬が支給されているという。
また、ラテンアメリカからは大半がコロンビアの軍人であるが、エルサルバドル、チリ、ホンジュラスなどからも軍人が参加しているそうだ。
最初にコロンビアの軍人が傭兵としてアラブ首長国連邦に到着した時に、彼らは建設労働者として登録されたそうだ。その時の彼らの任務は港湾関係の安全警備などであったという。
サウジがイエメンと紛争を起こしたことによって、コロンビアの軍人もその紛争に参加せざるを得なくなった次第だ。しかし、この紛争で明らかになったのは世界で最も多く兵器を購入するサウジを始め、他の湾岸諸国が自国の軍隊だけで国を防衛することが出来ないという現状を目のあたりにしているそうだ。
例えば、アブダビの場合、人口900万で、その半分は外国出身者で占められているということから、結局、防衛は傭兵に頼らざるを得なくなるのである。
コロンビアの傭兵の場合、米国で軍事サービスを提供する1997年設立のPMC(民間軍事会社)「ブラックウォーター」に、コロンビアの「グローバルサービス」という企業が連携して軍人を傭兵として募っている。(参照:「
fuerzasmilitares.org」)
PMCは、ブラックウォーターの他にも、英国を拠点にした1901年設立のG4S(現在60万人を雇用)、1946年設立のDynCorp(米国)があるが、これらのPMCが国の正規軍に代わってリビア、イラク、アグガニスタンなどで戦っているのである。コロンビアの軍人も傭兵として米軍についてアフガニスタンでも戦っている。
中東諸国だけでなく、英米などもこれから更に傭兵を外国の紛争地域に派遣する数はさらに増加すると予測されている。そしてそれらの傭兵は、南米の軍隊にいた兵士たちによって構成されているのである。
<文/白石和幸 photo from
kremlin.ru (CC BY-SA 4.0) >
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身