オーナーが勝手にベンチ入り!? 下地奨が語るタイサッカーの”常識”(3)

上部リーグと、下部リーグの選手のメンタルは明らかに違う

 タイリーグが結構稼げるらしい、というのはカレン・ロバートがタイに渡ったころから日本でも知られるようになった。ただ、誰でも成功できるというほど甘いものでもない。タイサッカーのレベルは、日本人が思うほど低くない。  現に、「タイのメッシ」チャナティップ・ソングラシンは札幌で旋風を巻き起こし、青山が所属するムアントン・ユナイテッドはACLでJリーグ王者の鹿島アントラーズを撃破した。  日本でトライアウトを受けても全滅、全然稼げなかった下地奨もタイで稼げるようになったのは間違いない。年収も日本円で二千万円を超えた。だからこそ、見えてきたこともあるという。 「僕自身は昔も今も言っていることは全然変わらないんですけど、やっぱり数字がついてくるようになると周りが話を聞いてくれるようになりますよね」  そして、自身の年収とプレーするカテゴリーも上がってくると、大きな違いがあることに気が付いたという。 「タイでも日本でもそうですけど、三部リーグとか四部リーグに行くと会話の大部分が愚痴と不満なんですよ。そりゃ一部リーグの選手だって噂話くらいはしますよ。でも、上部リーグの選手たちの会話って、大部分が“次はどうするか”という未来志向の話なんですよ」  そして、ネット民から散々バッシングを受けてきた筆者を励ましてくれた。 「タカさんの記事にそうやって文句をつけるヤツって、絶対に収入もタカさんの三分の一かそれ以下だし、記事を読んで悪口コメントを書くという時点でヒマという証明ですよね」  しかし、筆者が下地と対面した2017年4月、彼は苦境に陥っていた。「ギャラ未払い問題」である。  端的に言って、昨年まで下地が所属していた1部のクラブが2部に降格となった。クラブの収入が激減したため2016年から2年契約だった下地は2017年分のギャラを受け取れなくなった。現在、FIFAに持ち込んで係争中だが、2017年11月現在まだ決着がついていない。これもまた、タイサッカーの一側面である。  ただ、それでも下地は明るい。 「これはこれでネタにして、次の大金掴みに行きます」 (了) 【タカ大丸】  ジャーナリスト、TVリポーター、英語同時通訳・スペイン語通訳者。ニューヨーク州立大学ポツダム校とテル・アヴィヴ大学で政治学を専攻。’10年10月のチリ鉱山落盤事故作業員救出の際にはスペイン語通訳として民放各局から依頼が殺到。2015年3月発売の『ジョコビッチの生まれ変わる食事』(三五館)は12万部を突破。最新の訳書に「ナダル・ノート すべては訓練次第」(東邦出版)。  雑誌「月刊VOICE」「プレジデント」などで執筆するほか、テレビ朝日「たけしのTVタックル」「たけしの超常現象Xファイル」TBS「水曜日のダウンタウン」などテレビ出演も多数。公式サイト
 ジャーナリスト、TVリポーター、英語同時通訳・スペイン語通訳者。ニューヨーク州立大学ポツダム校とテル・アヴィヴ大学で政治学を専攻。’10年10月のチリ鉱山落盤事故作業員救出の際にはスペイン語通訳として民放各局から依頼が殺到。2015年3月発売の『ジョコビッチの生まれ変わる食事』は15万部を突破し、現在新装版が発売。最新の訳書に「ナダル・ノート すべては訓練次第」(東邦出版)。10月に初の単著『貧困脱出マニュアル』(飛鳥新社)を上梓。 雑誌「月刊VOICE」「プレジデント」などで執筆するほか、テレビ朝日「たけしのTVタックル」「たけしの超常現象Xファイル」TBS「水曜日のダウンタウン」などテレビ出演も多数。
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