ライター・北条かやが哀れなCDとドルオタに物申す
北条かやの「炎上したくないのは、やまやまですが。」【その2】
福岡県太宰府市の山中に、AKB48のCD585枚を捨てたとして、会社員の男(32)が書類送検された。「総選挙」のために大量購入し、投票券を抜いたあとの「処分に困って捨てた」という。
こういう大量廃棄は「氷山の一角」で、彼だけでなく似たようなことをやっている人は、結構いるのではないか。
それにしても、アイドル産業の異常であることよ。中学2年でジャニーズの応援をやめた私としては、30代にもなってCDを600枚も買うほど応援したいアイドルがいるなんてうらやましい(生きがいがあるのは良いことだからさ。私にはそれがないから、すぐ死にたくなってしまう)。でも、推しメンのために、四角いプラスチックの塊を何十キロと購入することが「応援」とはこれいかに。ムスカに言わせれば、CDがゴミのようだ! というか、まさにゴミ。
自分は物書きだが、同じ本を600冊買ってくれる読者がいたら卒倒するだろう。作家のファンというのは、せいぜい「単行本と文庫をぜんぶ持ってます」くらいなもんで、アイドルを応援するのとは全く違う心の動きなんだろうと思う。
アイドルにはそのくらいの力があるのだ。彼女を応援するための投票にかけるエネルギーは、プラスチックの塊を大量購入するという行為にも、一切の疑問を抱かせない。
「一体、俺は何をやっているんだろう」と虚しくなるのは、すべてが終わったあとである。総選挙後、残った大量のCDを見て、彼女を応援していたエネルギーは「祭りのあと」の虚無感へと変わる。応援しているアイドルの「音源」が込められたCDをあっけなく廃棄しちゃうって、そういうことでしょう。