ビジネスファッションのカジュアル化が進み、スーツを着る機会が減ったという声をクライアントであるビジネスマンからよく聞きます。近年、金融機関であっても、内勤ならばジャケパンOKという声さえ耳にします。
クールビズ・ウォームビズがビジネスで許容される時代だからこそ、着用頻度が下がりスーツにお金を掛けるという価値観に変化が起きているのではないでしょうか?
それでもビジネススーツをジャストサイズで着るというニーズに変化はありません。スーツは型が決まっているからこそ、身体に合っていないスーツの着こなしは一目瞭然でわかってしまうからです。
特にジャケットの袖丈はキーポイントのひとつです。特に身体に合っていないジャケット袖は、借り物のスーツを着ているように見えるため、どんなに高級な生地であったとしても、みっともなく見えてしまいます。
シャツの役割という視点では、ジャケット袖からワイシャツが1~1.5センチ程度見えることが重要! もともとヨーロッパでは下着扱いのワイシャツだからこそ、皮脂がジャケットの袖裏につかないようカバーするため、ジャケット袖からシャツが見えることは常識だったのです。
オーダースーツの出来栄えは採寸でほぼ決まります。どのオーダースーツ業者であってもある程度マニュアルはあるようですが、業者によってその基準は若干異なります。私は親指の爪先から11センチ程度、かつ、ワイシャツが1センチ程度見えることをポイントにしています。
ユニクロのオーダースーツで驚くべきことは、コスパ以上に納期にありました。仮縫いがあるフルオーダーメイドの場合2か月、手軽なパターンオーダーであっても1か月、どんなに早くても3週間程度と言われています。ところが、ユニクロのセミオーダー感覚のスーツは約1週間というのです!
その秘密は、この商品の特性にありました。ユニクロの場合、注文を受けてから仕立てるのではなく、細分化した全サイズをあらかじめ倉庫に用意することで1週間納品を可能にしています。オーダーメイドという表現を避け、「オーダーメイド感覚で選べる」という言い回しにしている理由はここにあったのです。
およそ2万1000円でここまでできるスーツは、ビジネスシーンで十分使えます。既成スーツが身体に合わない方は一度挑戦してみてはいかがでしょうか?
森井良行氏
<文/森井良行>
【森井良行】
株式会社エレガントカジュアル代表取締役。’79年 千葉県出身。服のコンサルタント、「プロの目線でユニクロも好印象!」をモットーとして、のべ4000人を超えるビジネスマンの買い物に同行。公式サイト「
エレカジ」にて、自身がリサーチしたアイテム情報など随時更新中。上場企業から「営業マンのための印象研修」を請け負っている