「プレゼンで聞き手が関心を持ってくれない」を打破するもっとも簡単な方法

 こう申し上げたところ、「伝えなければならないことは10点あるので、それを話さないということは許されない」という反応に接したことにある。そうであれば、10点は資料として配布すればよい。プレゼンでは、その中から最も伝えたいことを3点選んで、伝えればよいのだ。  ポイントが5点あっても、最も伝えたいポイントを3点選ぶのだ。理由がよりたくさんあっても3点選ぶ。主な理由が1つしかなかったとしても、しいて挙げれば2つ目、3つ目の理由があるというようにマイナーな理由を挙げればよい。今後アクションすべきことが20あったとしても、20解説しない。最も重要なアクションを3つ述べるのだ。 「今後アクションすべきことが20あるにもかかわらず、それらを全て付言しないとはいいかげんだ」という反応に接したことがある。そのとおりだ。いいかげんだ。しかし、このいいかげんな方法こそ、相手を引き付け実現度を高めるのだ。

人の心に残るように話すのがプレゼン

 今後アクションすべきことを20解説して、羅列するたびに聞き手の関心が低下し、左から右に聞き流される。その結果、プレゼンが終わっても何も残っていないケースがほとんどだ。それでよいのか。  一方、今後アクションすべきことは20あるが、プレゼンでは最も重要なこと3つだけ伝える。関心の低下は、20解説するよりも、はるかに防げる。3点は聞き手に残る。理解度やそれを実行しようとする気持ちは、20羅列するよりも高い。だとすれば、3つしか伝達しないことの方が、プレゼンの効果はあったということになる。  20項目を伝達したければ、集中度が低下するプレゼンの場よりも、一覧表として配布したり、メールで伝達するなどの手法を用いて、一人でしっかり確認してもらうという手法をとった方がよいのだ。  聞き手を引き付けるプレゼンは、20項目をチェックするような確認作業ではない。プレゼンは管理作業ではないというあたりまえのことを実践していくために、最も簡単に修得でき、最も早く効果が出て、最も広い範囲の人が実践できる方法が、3点話法なのだ。 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第54回】 <文/山口博> 【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある。
(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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チームを動かすファシリテーションのドリル

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