独自のビジネスモデルを持つ企業には、株価10倍の期待がある
2014.08.12
10倍株を意味する「テンバガー」。株式投資に興味のある人なら夢見たことはおそらく一度や二度ではないはずだ。今、最もテンバガーに近い銘柄は何なのか。精鋭たちが今年の夏に逃さず仕込んでおきたい“原石銘柄”を惜しむことなく伝授する
「今から株価10倍になる銘柄を探すのはなかなか難しい話ですが、それでも候補はありますよ!」
そう力強く話すのは自称“相場の福の神”SBI証券のマーケットアナリストである藤本誠之氏だ。果たして、どんな銘柄があるのだろうか?
「例えばクリーク・アンド・リバー社。同社の社長は、元々フリーランスの映像ディレクターだったのですが、クリエイターをバックアップする事業で創業。現在TV番組にディレクターを派遣したり、紹介しています。実に国内のTV番組の45%に同社のディレクターが関わっている。クールジャパンを支える縁の下の力持ちです。日本の文化が注目されているなか、クリエイターの需要が非常に上がっています」
さらに、その人材派遣のノウハウを生かして他分野にも進出中だとか。
「今ではゲームやWebなどのクリエイター、医師や公認会計士、弁護士などの専門家の派遣、作家のエージェンシー業なども行っているんです」(同)
アベノミクスで景気が良くなり、人材の流動化が始まっている点も追い風だ。これ以外でも、藤本氏が挙げるのは新興市場の銘柄たちだ。
「例えばユーグレナ。東大発のベンチャーで、ミドリムシの培養を行いジェットエンジン用燃料への実用化を目指している会社です。ミドリムシからジェット燃料を作ることができれば、かなり画期的。その期待感から買われていますが、現状ではただのミドリムシクッキーやミドリムシラーメンなどの健康食品の会社。とはいえ赤字を垂れ流しているわけではない。経営がうまいんですよね。ジェット燃料の開発には国からの補助金が入っており、お金はあまりかかっていない様子。仮にジェット燃料の開発に失敗したとしても、このまま健康食品の会社として3割成長をしていけば、それもありなんじゃないかと思います。大きく夢を打ち出していながらも、意外と現実を見ている銘柄なんです」
もちろんジェット燃料が実用化すれば、大きな値上がりが見込める。
「あとはフォトクリエイトやサンセイランディックですね。フォトクリエイトはプロのカメラマン1400人と契約。幼稚園や小学校などに派遣し、写真を撮影してデータで販売するビジネスモデルです。やっぱりプロに撮ってもらったほうがイイ写真になりますしね。コツコツ写真を撮る地道なビジネスモデルですので、成長性もコツコツですが手堅い。サンセイランディックは借地権を売買する不動産屋。大家と店子が揉めているような物件の借地権を買って、店子に販売するか、出て行ってもらい更地にして売る。借地権メインの不動産業はココしかやっていません。PERも8倍とまだまだ割安ですしね」
ほかに類を見ないビジネスモデルは、独自の強みになる。こうした視点での銘柄探しは、自身でスクリーニングをし、10倍株を探す際にも参考になるのでは?実践してみてはどうだろう。
【クリーク・アンド・リバー社】
411円/100株/最低購入金額4万1100円
TV等映像分野での人材派遣、制作を主なビジネスモデルにしながら、そのノウハウを医療や法律などの専門分野にも応用し進出している。アベノミクスで失業率も下がっており、人材業界は活況になっていることが追い風に。また中国での電子書籍販売や、ソーシャルゲームの販売も行っている。ガンホーのようにソーシャルゲームが当たれば株価へのインパクト大。配当性向が20%以上あるのも魅力
【ユーグレナ】
1097円/100株/最低購入金額10万9700円
ミドリムシを活用した健康食品や化粧品を販売しながら、バイオジェット燃料の研究開発にも注力。「社長の出雲氏の経営がうまいと思いますね。健康食品も1日100~200円の手を出しやすい価格帯で販売しており、効能をうたってべらぼうに高いわけではない。ミドリムシの培養コストを年々下げ、年間3割成長を続けられたら、現在多少割高なバリエーションにも説明が付く」(藤本氏)
【フォトクリエイト】
1570円/100株/最低購入金額15万7000円
学校行事やスポーツイベントなどで写真を撮影し、データ販売する。今年の東京マラソンでは150万枚もの写真を撮影したとか。結婚式場と提携したフォトクラウド事業やプロ野球チームとも提携。膨大な写真から、ビックデータを抽出してマーケティングデータの販売なども狙う。とはいえ、ロングテールのテール部分を狙ったビジネスモデルのため成長スピードが物足りない可能性も
【サンセイランディック】
671円/100株/最低購入金額6万7100円
不動産オーナーと店子が揉めているなど、権利関係が複雑な不動産を買い取り、関係調整したうえで再販するビジネスモデル。扱う物件の多くがボロアパートなどで利益率も高い。懸念されるリスクとしては、今後定期借地自体が少なくなる可能性。そうなれば、事業自体が危ぶまれるが、来年の相続税の改定で、今後都内の一軒家を持つ家庭が対象になるので、しばらくは安泰と藤本氏は見ている
【藤本誠之氏】
SBI証券投資調査部シニアマーケットアナリスト。“相場の福の神”を自称する。オールアバウト株式ガイド。最新刊『朝13分で、毎日1万円儲ける株』(明日香出版社)が6月19日発売
※株価、最低購入資金は6月13日終値。チャートは’13年12月14日~’14年6月13日
取材・文/テンバガー取材班 チャート協力/楽天証券
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