電通の「働き方改革」では長時間残業が減らない本当の理由

長時間残業が本当に違法か、どうか

 長時間労働は「違法」「悪だからゼロにすべき」というのは正論です。しかし、会社に規制を作らせるだけでは、やる気のある人を否定し、新たな時間外労働を生み出す恐れがあります。長時間労働が違法かどうかは、議論の対象ではありますが、その解決策を念頭においてみると論点がずれていきます。  長時間労働の根本的な原因は、会社や部署で異なります。長時間労働を減らしたい、働き方改革をしたいという目的は同一でも、方法論や実現可能性などは本当に異なります。  長時間労働を減らすためには、企業の部署ごとで具体的対策をたてて実践し、成果のあった取り組み事例を社員で共有し、一部修正して他部署で実施してというような、地道なサイクルしかないです。  これは、長時間労働や働き方改革を、違法残業やリスクマネジメントしてではなく、素直な気持ちからそう思える一人ひとりの参加なくしてはなし得ないことです。ボトムアップ形式の対策を、トップが認めることこそが、働き方を改革し、結果として長時間労働が減らすことに繋がるのではないでしょうか。

大切なのは働く時間だけでなく疲労度

 産業医としては、過労死や過労による病気になるには「疲労度」が大きく左右すると感じています。  疲労感は主体的な感覚なので、取り扱いが難しいです。それよりも、数字化できて客観的で比べやすい「時間」という基準が、使われているのが多いというのが実情ではないでしょうか。  一方で昨今、耳にする機会が増えた「違法残業」という言葉があります。これは働き方とは別の問題です。違法残業はむしろ企業ガバナンスの問題です。言ってみれば、日産自動車におけるの無資格者の恒常的検査体制や、神戸製鋼所における製品偽装にも通じるものがあります。  そして、その時間や違法性という、理解しやすい言葉に社会の関心が向きすぎてしまっているのではないでしょうか。  大切なのは、長時間労働や疲労を生み出している働き方なのです。  では、働き方とは何でしょうか。
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働き方=やりがい×裁量権
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