フィンテックの競争激化はこれからが本番。じぶん銀行社長が語る「生き残りの条件」とは?

 そのなかでじぶん銀行ではさまざまな実験的施策を打ち出している。今年7月にはAnyPayが提供する割り勘アプリ「paymo(ペイモ)」との連携を発表し、つい先日にもLINEが提供する金融サービス「LINE Pay」との提携を開始した。 「今は世の中の銀行はほとんどそうだと思いますが、我々もオープンイノベーションという視点で考えています。じぶん銀行だけで全部をやれる時代じゃなくて、強いプレイヤーやアイデアを持っている人と組む必要がある。例えば決済サービスを手掛けるにも消費者側と加盟店側という2つのマーケットがあって、我々はリテールバンクなので加盟店を集めるのはどうしても不利になります。そういうときにLINEやKDDIの『auウォレット』など決済に強いプレイヤーと組んでいくのは、絶対的に必要になってくるわけです」
模索

スタートアップ企業との提携なども柔軟に模索し続けている

 提携によって他社のよさを生かせる一方で、じぶん銀行には「スマホに特化したサービスを9年間提供してきた」という強みがある。  それだけにUIやUXに関しては相当なこだわりを見せており、「普通の銀行だと一度大規模なバージョンアップをしたらそれまでだが、我々は四半期に一度は最低でもバージョンアップをする。そのために専門機関を置いているのだから」と話す。 「お客様の動向を考えると、じぶん銀行のアプリを使った後にはインスタグラムやフェイスブック、メルカリを見たりしているわけです。だからそれらのサービスよりも使い勝手が著しく悪かったら使われなくなっていく。そういったサービスと競っていくのは大変ですけど、それをやり続けた企業が生き残っていくんだろうと。その意味では、今般、銀行スマホアプリとしては初めてグッドデザイン賞を受賞したことは、我々の努力が認められた大変名誉なことだと思っています」

じぶん銀行アプリの使用画面

 日本におけるフィンテックは、今のところ決済分野や資金管理分野が進んでいる印象だ。家計簿アプリを手掛けるマネーフォワードは先日東証マザーズに上場した。しかし、それだけでなく仮想通貨や話題になった「VALU」のようなICO(イニシャル・コイン・オファー)分野など、今後もさまざまなサービスが登場してくるはず。  従来の金融機関だけでなく多ジャンルの企業も含めて競争が激化するなかで、あなたの日常が劇的に変化する瞬間が、もうすぐそこに迫っているかもしれない。 <取材・文/HBO取材班 撮影/水野嘉之>
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