中国訪日団体ツアーが事実上禁止に。行けなくなった中国人60万人の振替先は?

 近年、中国政府は、一度開放した渡航先を規制する動きを見せている。韓国は上記で触れたが、団体ツアー全面禁止にし、香港渡航へも制限をかけ、前政権下で観光面の交流が進んだ台湾も政治的な理由で、渡航制限を強化している。というわけで、中国政府が推奨する中国人が渡航しやすい国や地域はどんどん減っているのが現実と言えるのだ。

韓国への団体ツアー禁止で韓国へ入国する中国人は目に見えて減少している

 今回の訪日団体ツアー禁止の通達を受けて、大連のある旅行会社は、「本当に痛い」と率直な感想をこぼす。

瀋陽の旅行会社が募集している10月18日から6泊7日の訪日団体ツアー案内

 この旅行会社では、富裕層のファミリー向けフリーツアーが主流で、成田空港や関西空港へ到着したら帰国日まで自由行動となる。今冬は北海道への早めのフリースキーツアーを企画していただけに寝耳に水だったようだ。 「中国の旅行シーズンは、春節、5月のメーデー連休、そして10月の国慶節連休の3つあります。今回の団体ツアー制限は、これらのハイシーズンには重なっていないとはいえ、本当に12月末で制限が解除されるかまったく分からないので不安です」(旅行会社代表)  旅行会社によると今年の国慶節連休分はすでに完売済みなので問題はないそうだが、春節がどうなるか見通しが立たず困惑している。  日本でも中国人団体ツアー客がよく利用するホテルなどは影響が出そうだが、広島から毎月出張で上京するある会社員は、「この3年ほど私が宿泊するような6000円前後のビジネスホテルが予約しづらくて困っていたが、これで少し取りやすくなれば嬉しい」との声もある。  いずれにしても今秋から今冬にかけて中国人団体ツアーの囲い込みを想定していた企業やイベントなどは、戦略の見直しが早急に必要となりそうだ。 <取材・文・写真/我妻伊都(Twitter ID:@ito_wagatsuma
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