カタルーニャ独立を問う住民投票で集結した治安機動隊員の待遇が悲惨過ぎるとスペイン各紙で話題に

 しかし、隊員は不満を募らせている。なにせ、隊員たちは港に停泊しているチャーターされたGNVやモビーラインといったイタリアの開運会社の客船で寝泊まりしているのだが、多くは狭い船室に4人とか3人で過ごすことを余儀なくされている。もちろん、ベッドは簡易ベッドだ。さらに、朝食もコーヒーにクロワッサン1個で、500mlのミネラルウォーターが無償で支給されるだけである。あとの食事は買い出しにバスに乗って行かねばならないし、体操やトレーニングできる場所もない。さらにいえば、インターネットのWifiも自己負担なのだから、それも当然だろう。(参照:「OK Diario」)  さらに、「歓迎されないムード」も彼らをいっそう居心地悪くさせている。港に停泊している彼らの客船に対して、港内の港湾労働者は「あなた達は歓迎されない客だ」として彼らへのサービスを拒否しているのだ。(参照:「OK Diario」)

歓迎されない仕事なのに上司はTwitter

 そんな環境なのに、仕事は結構ハードだ。例えば州政府経済省に立ち入り捜査に入った時だ。そこを引き揚げるのに建物の周囲を住民投票の実施を訴える市民によって包囲されて20時間も要したという。その理由は出来るだけ市民に危害を加えないようにという指示が上層部から出ているためである。さらに、その時に、船内にいる隊員は彼らを救出に向かいたがったが応援に駆け付けた機動隊員が市民の目に止まって彼らが更に機動隊に反感を持つようになるのを避けたいとする政府の意向から、船内での待機を余儀なくさせられたのだ。  住民・政府上層部だけが彼らを追い詰めただけではない。通常、自治警察は治安機動隊のパトカーを防禦するのが義務なのだが、これを敢えて怠り、治安機動隊のパトカーの窓ガラスは破損、車体も傷つけられてしまったという。  そして、そんな苦境に立っていたにも関わらず、彼らの「ボス」でもあるソイド内務相は機動隊の活躍をツイッターしていたというから目も当てられない。(参照:「LA GACETA」)  一方で、9月21日には治安機動隊を支援する独立反対派カタルーニャ市民が、スペイン国旗を掲げて集会を開いたが、劣悪な環境で客船の船室に閉じ込められた隊員たちの不満は募る一方だという。(参照:「mediterraneo」) <文/白石和幸 photo by RFBailey via Wikimedia commons(CC BY-SA 4.0)> しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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