農業もドローン・AI・ロボットが解決! 各国で進む「スマート農業」
人工知能(AI)やビッグデータ、ロボットを農業分野で活用する「スマート農業」が世界的に広がりつつある。 ヨーロッパでは2016年から、雑草除去と収穫量の改善プロジェクトとして、「SAGA(Swarm Robotics for Agricultural Applications)」が開始された。これは群衆ドローンに搭載されたビジョンシステムを通じて農場をチェックし、雑草の位置を正確に割り出すというもの。また群衆ドローンによって感知された雑草は、連動した芝刈りロボットが除草する。 ドローンは1.5kgの重量で、20~30分程飛行する。広大な圃場の場合にはドローンがリレー形式で作業し、一機が業務を終えて着陸すると、代わって他のドローンが作業を続けていく仕組みとなっている。 なお同プロジェクトにおいては、すでに成果も報告されている。これまでの除草作業には農薬を広範囲に散布していたのだが、ドローンを用いることによって、雑草が集中しているエリアを優先的に除草できるようになったという。肥料や農薬の使用量を減らしてコストを削減しながら、農作業の効率アップが実現した形だ。 同プロジェクトによって、有機農場におけるドローンを使った雑草の効率的な散布や、草刈りロボットによる機械的除去が、新たな農業の可能性として証明されたのだが、考え方によっては、ドローンを各農場で購入せずとも、シェアすることができるだろう。 複数農家で共同購入してもよいが、SAGAプロジェクトを進行しているイタリア国立研究委員会(Italian National Research Council)認知科学技術研究所(Institute of Cognitive Sciences and Technologies)のヴィト・トリアンニ(Vito Trianni)博士は、「協同組合が20~30台購入し、農場の面積によって群集の大きさを調整しながら地域ごとに配置すればよいのでは」と提案している。一方、SAGAと並行して推進されているプロジェクトに、「IoF2020(Internet of Food & Farm)」もある。こちらはヨーロッパ圏の畜産、農作物・食品の全領域を対象に、モノのインターネット(IoT)をベースとした情報ネットワークを構築し、ビックデータを収集・活用しようというプロジェクトだ。ビッグデータ収集と分析を通じて、農業を数値・データに基づいたものに変貌させることによって、農作物をはじめ、全分野の効率性が向上するものと期待されている。 例えば、センサーが内蔵された小型機器を牛の体内に挿入し、病気をはじめとした健康状態などを、個体ごとにチェックする。日々収集したデータを分析することによって、些細な変化や重篤な伝染病にも早めの対処が可能となった。また、種類分けした家畜と地域別の気候の情報をリアルタイムでクラウドに伝送し、全世界の牧場のデータとして活用する予定だ。 IOF2020プロジェクトの責任者であるジョージ・ビアス(George Beers)博士は「プロジェクトを通じて欧州全域の食品、全分野にデジタルネットワークを構築し、農業のパラダイムを新たに変化させることを目標としている」と話している。IoTネットワークで収集したビッグデータ活用
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