ボランティアジプシーを生み出す地域おこし協力隊制度。辿る末路は、海外青年協力隊と同じ

一度参加してしまうと潰しがきかない!?

 青年海外協力隊は国際協力名のもとに国から3年の援助を受けて海外で働きながら暮らせる制度だ。だが海外に赴任させられた人々から多く聞かれるのが、「現地に行ってみたら、何もやることがなく、どうしたらいいかわからなかった」「誰も日本人が来るなんて聞いていなくて、ゼロから説明してもどうしようもなくなった」「ノイローゼになって帰国できないものがいても現地の日本の係員は取り合ってくれない」。  どこかで聞いたような話ではないか。地域おこし協力隊が国際協力隊をトレースしてできたというのはすぐにわかる。  海外に3年出てしまったら、あとはろくなところに就職できないというのも参加者の声の多くだ。結果的に、青年海外協力隊出身者は、JICAの現地契約社員か、地域おこし協力隊になりやすい。  つまりずっとどこかの地域の「お手伝い」をするだけで、長期にわたって国からボランティアとしてお金をもらい続けるのだ。  秋田のある地方で起こった地域おこし協力隊のニュースを見るとわかりやすい。  秋田で地域おこし協力隊をやっていた男性が3年契約だと思ったら1年で地域から追い出されてしまったというニュースだ。  よく記事を読んでみると、その男性はもともと青年海外協力隊出身で、そのあとに地域おこし協力隊になったことがわかる。そして秋田地方で契約を切られたあとには、九州のある地方で再び地域おこし協力隊になっているのだ。これがボランティアジプシーでなくてなんであろうか。  数年前に青年海外協力隊から帰ったMさんはこう言う。 「青年海外協力隊ではノイローゼになってもJAICAの誰も相談にのってくれなかったし、言葉もあまり通じないので孤立する。そのまま何もせずに3年向こうで過ごして帰国しても青年海外協力隊には未来がない。出身者同士で褒めあっても就職にはプラスにはならない。しかたなく地域おこし協力隊になろうとしていたら、青年海外協力隊の仲間に、地域おこし協力隊も国のやることだから同じだよ、って注意を受けました。海外のほうが言葉が通じないからまだいい。言葉が通じるだけもっと悪い事態になるって(苦笑)」。  青年海外協力隊の実態の酷さはまた別途レポートするにしても、国のやっているのは大昔と変わっていない。海外や地方に人を送り出す宣伝だけして、あとは責任を取らない移民制度なのだ。 <文・小手平箸歌>
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