しかし、国内における野球人気は、日本のそれに遠く及ばない。特に高校生野球にはほとんど関心がない。甲子園での全国高等学校野球選手権大会の決勝戦を観覧した韓国の野球ファンは、その熱気と盛り上がりに驚愕した。
「日本の高校野球の決勝戦を観にコーシエンに言ってきた。ざっと見渡しても取材陣が100名以上もいる。とても羨ましく感じた。観衆は5万人。もっと凄いのは両チームの応援団で、試合開始前から盛大な応援合戦を繰り広げている。日本の野球の力を感じた」
「韓国の野球はもう日本に勝てない。しかし韓国はそれを認めようとしない。プロ野球だけが野球だと思ったらおしまいだ」
得てしてスポーツ界には、メジャーなものとマイナーなものがある。そのメジャーとマイナーの境界線は、その競技の参加人口の数にもよるが、どれだけメディアが取り上げるのかにもよる。
取材する記者も、報道するメディアも、すべてはボランティアではない。一定の公共性を保ちつつもビジネスとして成立しなければ継続は難しく、そこには常に需要と供給の問題が横たわる。
「メディアが取り上げて人が関心を持つのか、人が関心を持つからメディアが取り上げるのか」
遠くカナダの地で、孤軍奮闘の取材記を送り続けた韓国人記者の言葉だ。
日本の高校球児たちに送るそれと同じくらいに、隣国の高校球児たちにも心からのエールを送りたい。
<文・安達 夕
@yuu_adachi>