マドゥロ大統領が物資不足に喘ぐ自国民をさておき、米国のハリケーン被災地に500万ドル支援金を決定

国内で不足するガソリンを無償提供!?

 更に、驚くべきことがある。ベネズエラの電子紙『elestimulo』が9月2日付で報じたところによれば、ベネズエラのホルヘ・アレアサ外相が<テキサスのハービーが襲った地域の被災者を対象にガソリンを無償で提供する>と発表したというのだ。また同外相のツイッターで<ハービーの被害を受けた地域の消防隊、レスキュー隊、警察もガソリンを無償で手にれることができる。CITGOを通してベネズエラからのソリダリティーによる提供だ>と綴って公表したことも伝えている。(参照:「elestimulo」)  ベネズエラ国内では、車にガソリンを満たすのに長蛇の列で待たねばならなず、<グアナレ市のポルトゥゲサ地区ではガソリンを入れるのに9月1日は運転手は2時間待たねばならなかった>というにも関わらず、である。  2005年にハリケーン・カトリーナが米国を襲った時も当時のベネズエラ大統領であるチャベスは<100万ドル(1億1000万ドル)の救援金と食料、水、燃料やほか援助を提供した>そうだ。その時はブッシュJr.大統領であったが、<逆効果だとして支援を拒否した>という。(参照:「El Estimulo」)  当時チャベス大統領はラテンアメリカにおける反米主義として、米国に対抗する米州ボリバル同盟(ALBA)を2004年末に創設したばかりであった。その様な国からの支援を米国は受け入れる訳にはいかなかったのであろう。  今回のマドゥロの決定についても、8月30日付の『The Washington Post』によれば、<米国はその支援を受け取るか否か明らかにされていない><国務省からはまだ回答していない>としている。(参照:「The Washington Post」)  マドゥロ大統領は国家の資金難から逃れるべく、あらゆる機会を利用して米国との関係改善に努めている。しかし、彼がベネズエラの政権に就いている限り、米国からの理解を得ることは殆どないし、むしろその関係改善策は国民からの反発を喰らうというのが現状であろう。 <文/白石和幸> しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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