日本企業の投資が進むカンボジア 携帯電話事業に参入も
三井物産が出資したスマート・アシアタはカンボジアの首都・プノンペンに本社を置く企業で、カンボジア全土で携帯電話サービスを提供している。携帯電話サービスの加入件数は800万件を超えており、カンボジアにおける占有率は約40%を占める。カンボジアでは携帯電話事業者の統廃合が頻繁に起こり、2017年時点でも6社の携帯電話事業者が乱立しているが、スマート・アシアタは大手の携帯電話事業者として地位を着実に築き、ブランド認知度も高めている。
また、スマート・アシアタは2014年1月にカンボジアで初めて4G LTEを商用化し、2017年8月にはカンボジアで初めて4.5Gを導入するなど、カンボジアでは先進的で高品質な携帯電話事業者として存在感を示している。
カンボジアにおける携帯電話サービスの人口普及率は100%を上回り、携帯電話サービスの加入件数自体は大幅な増加を見込めない。しかし、依然としてスマートフォンの普及率は低く、経済成長に伴い2021年には60%を超えると予想されている。スマートフォンの普及率が高まれば、高速かつ大容量なデータ通信の需要も高まり、スマート・アシアタは収益基盤の強化や事業規模の拡大を期待できる。
スマート・アシアタは携帯電話サービスのほかに、金融やデジタルサービスも展開している。一方で、三井物産はインドネシアやアフリカの一部の国で電気通信事業の経験があり、三井物産の知見をスマート・アシアタが推進するデジタルサービスの強化に活用し、カンボジアで拡大する見込みの消費需要を取り込む狙いがある。また、三井物産はスマート・アシアタの成長のみならず、スマート・アシアタを通じてカンボジアの発展と国民生活の向上にも貢献すると表明している。
アシアタ・グループはアジアの複数の国で携帯電話事業を手掛けており、三井物産としてはカンボジアを契機に同様の展開を他国に拡大することも視野に入れている。
<取材・文・撮影/田村和輝>
カンボジアの携帯電話事業に参入する狙いは?
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