「殺してやる」韓国のクレーマーが凶悪すぎてコールセンター職員が自殺 企業がとった秘策とは

 韓国では悪質なクレーム問題が近年、深刻化している。  大手百貨店やオンラインショップ、銀行などのコールセンターには日々さまざまな問い合わせの電話がかかってくるが、当然、悪質なクレームも存在する。  悪質なクレームの中には暴言を吐いた後担当スタッフの名前や連絡先を聞き出そうとする例や、「殺してやる」など脅迫まがいなものも。韓国では「お客様は神様」という顧客第一主義の企業理念が強すぎるあまり、顧客側が絶対的な権利をもっている。どんなに不条理なことを言われようとも、反論することはもちろん許されない。長時間罵られようが、どんなに誹謗中傷を受けようが、コールセンタースタッフは仕事と割り切って謝り続けなければなれない。  したがって離職率も高い。一般的には、18人のスタッフのうち、3年以上続けるスタッフはわずか1人にすぎないと言われている。退職理由はもちろん「クレームによる精神的ストレス」がトップ。今年1月には、大手コールセンターで実習生として勤務していた19歳の女性が、悪質なクレームや過度な営業ノルマによる業務ストレスを理由に自殺する事件が発生している。  このような背景から韓国のコールセンター各社で、クレーマーに対する画期的な「対策マニュアル」が広がりつつある。それが「コールセンタースタッフから電話を切る」という方法。  悪質なクレームに対してはスタッフが二度にわたって警告を行い、それでも続く場合には電話を切ることがマニュアルとして導入されている。暴言やセクハラまがいな精神的ストレスから従業員を守るという目的のほか、無駄な電話に業務時間を費やさないための策として導入する企業が相次いでいる。  韓国スーパー大手のイーマートは、今年3月にこのような「悪質なクレームの拒否」という内容を盛り込んだマニュアルを導入した。 また、クレジットカード大手の現代(ヒョンデ)カードも昨年からこのマニュアルを導入している。現代カードの副会長である 丁太暎(チョン・テヨン)氏は以前自身のツイッターに「従業員を守るのもサービスだ」とツイートしたことがある。  現代カードではこのマニュアルによって、悪質なクレーム被害も減少の傾向を見せている。昨年上半期には暴言とも言えるような悪質なクレーム電話が月平均300件あったのに対し、今年に至っては月平均120件ほどで、60%以上減少している。また、企業のほかに地方自治体の住民苦情相談センターでも、今年4月から導入し、悪質なクレームにはスタッフ側から電話を切ることを許可している。
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「今からうちの娘が対応します」という保留音を流しクレーム減少
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