朝鮮中央テレビが公開した、「火星14型」の2回目の発射の様子 Image Credit: KCTV
前回の発射と異なる点としては、発射場所が舞坪里という、これまでに弾道ミサイルの発射場所として使われたことのないところから発射された、ということがある。これはおそらく、どこからでも撃てる能力を誇示したものだろう。
前回の発射は平安北道の亀城(クソン)という場所から行われたが、舞坪里はその亀城から直線距離でおよそ100kmほど北に離れた、より内陸側に位置する。ちなみに、もし亀城から今回と同じように発射していたとすると、さらに日本に近いところに着弾していたはずである。つまり内陸から撃つことで、日本に届かないように”配慮”した可能性もある。
これを日本に対する恫喝、つまりいつでも撃ち込めるぞというメッセージと見ることもできるだろうが、そもそも北朝鮮は、すでにノドンや北極星といった準中距離弾道ミサイルを配備し、日本を射程に収めており、わざわざICBMで日本を狙う意味はない。脅威の度合いとしては、火星14型があろうがなかろうが高いままであることには変わらない。
あるいは「より高まった」ともいえるかもしれないが、そもそも北朝鮮から米本土に向けてミサイルを撃つ場合、日本の上空は通過せず、せいぜいレーダーで追跡するくらいしかできないので、迎撃できるか否か、ミサイルが日本に降ってくるのか否かといった点に限れば、以前と大きく変わることはない。
前回ともうひとつ異なる点としては、ほとんど日付が変わるころの真夜中に発射されたという点だろう。これまでの北朝鮮のミサイル発射は早朝に行われることが多く、夕方や夜間というのはまれだった。
これはひとつには、昼夜を問わず撃てる能力を示す意味合いがあったと考えられる。ただ、弾道ミサイルは、別にカメラでどこを飛んでいるか確認しながら飛んでいるわけではなく、加速度センサーやジャイロ、あるいは地上からの電波の誘導などで飛ぶため、基本的には太陽が出ていようが出ていまいが、変わらずに飛行することができる。
人間が行う発射準備などのほうが影響が大きいだろうが、こちらもある程度は自動化されているはずであることもあって、暗くてちょっとやりにくい、という程度だろう。
つまり日中に発射された時点で、昼夜を問わずいつでも発射できる能力はすでにあったとみなすべきであり、今回夜間に発射されたからといって、特段驚くようなことではない。
また、米国の偵察衛星などは、発射準備はこの28日よりも以前から行われていたことが確認されている。そのため当初は朝鮮戦争の休戦協定が結ばれた日、そして北朝鮮にとっては”戦勝記念日”となる7月27日に発射するのではないかといわれてもいた。
北朝鮮としても、この記念日に合わせたいのはやまやまだったはずであり、それが2日弱も遅れたということは、発射準備で何らかのトラブルがあったなどの理由で、やむを得ず真夜中の発射になったという、意図しない結果だった可能性も考えられる。