日本の公衆無料Wi-Fiはなぜショボいのか?孫正義も不要論を唱えるその内実を聞いた

日本の公衆無料Wi-Fi

繋がりにくさに定評がある日本の公衆無料Wi-Fi。改善できる余地はあるのか

 東京五輪を前に東京の観光整備が急ピッチで進んでいる。ところが、観光客があてにしている無料公衆Wi-Fiがどれも不便なのは確かだ。地下鉄やJRは利用者登録が必要になるが、認証したくても繋がっていない状態ではまったく動かない。やっと認証できても都バスはバスの中でしか利用できないのに、地下鉄に行ったら再び利用者登録。しかも駅でしか使えないというお粗末さである。そんな日本の公衆無料Wi-Fiの実態を情報通信総合研究所・佐藤仁氏に聞いた。  「3年前までは諸外国に比べると、日本ではほとんど普及していなかったが、ここ数年で急速に整ってきました。都市にもよりますが、東京だけをみると他の先進国と大差はなくなってきつつあります」  そもそも日本のWi-Fi導入は、携帯電話からのネット接続が増えるにつれ回線が逼迫して繋がらない問題を回避することから始まった。その対応策として、docomo、au、ソフトバンクら通信事業者が各社ごとに導入を行った。そのため日本の携帯電話に加入していない外国人観光客はWi-Fiに繋ぐことができなかったという過程がある。  「総務省の調査によれば’15年に日本の無料Wi-Fiに満足していない訪日外国人が36.4%だった。それを見た政府が観光促進のため急ピッチで普及に努めたのです」  ただWi-Fiが増えたといっても都バスの中では使えるが、地下鉄の中では使えないなど利便性に欠けている。このちぐはぐな状況は改善されるのだろうか。    「今の日本の無料公衆Wi-Fiはいわば『点と点』で、面のカバーができておらず、中と外、交通機関ごと、建物ごとに別れて接続するしかない。もともと日本人のWi-Fi需要は、ホテル、学校、カフェなど特定の滞在場所なので、駅や広場など通過場所には設置されてこなかった。日本人が一番繋ぎたいのは通勤電車の中でしょう。そういった需要に応えるために、東京メトロでは’16年12月からメトロの車両内でインターネットが使用できるサービスを開始していて順次導入する予定です」  沿線に上野や浅草など観光名所が多い銀座線では’20年度までに全編成で実施。丸ノ内線は’18年度から’22年度、日比谷線は’16年度から’20年度までに、新型車両の導入に合わせて開始する予定だ。  だが、導入を急いでも実際は繋がらない場合が多いのはなぜか?  「単純に、1つの場所で多くの人が同時利用しているからです。LINEやFACEBOOKの投稿はさして負担にはなりませんが、最近は動画の視聴や投稿が当たり前に行われているのも原因です」  スマートフォンのWi-Fiをオフにしていないと、勝手に繋がってしまうので注意が必要だ。
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ネックはシームレス化
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