一方で、その芸能人たちの不祥事が連日のように報道され、社会への影響力は低下の一途をたどっているようにも見える。情報番組にコメンテーターとして出演することもある堀氏は、「不祥事ネタは少し視聴率が上がりますが、たいてい1週間も続かない。今は芸能人が不祥事を起こしても別に驚きはありません」と指摘する。
「かつては子供から大人まで知っているヒット曲がテレビから流れ、芸能人は憧れでした。しかしSNSが浸透し、年齢層や趣味嗜好によってヒットするものが細分化している今では芸能人はもはや“特別な存在”ではない。今の芸能界はスキャンダル、不祥事がないと成り立たないといえるでしょう」
このまま芸能界は衰退し、“オワコン”になってしまうのだろうか。
堀氏は、「一昔前はCDのダブルミリオン、トリプルミリオンはざらでしたが、現在は最高でもAKB48の約100万枚。とは言え、コンサートの市場規模は年々急成長しています」と需要の変化を明かす。その上で、堀氏は芸能が経済に与える一定の効果について話す。
「よく『不況になるとヒットが生まれる』と言われますが、’97年頃から深刻化した金融危機の際にはモー娘。やSPEEDがヒットを飛ばし、景気対策が効き始めると人気に陰りが出始めた。AKBが初ヒットを飛ばしたのもリーマン・ショックが起きた’08年以降です。経済低迷時には明るい音楽や話題はとても重要。そういった意味で、芸能が経済に与える意義は大きいでしょうね」
<堀浩司氏>
’53年大阪生まれ。経済ジャーナリスト。阪南大学常任理事を務めるほか、在阪のローカル局を中心に多数のメディアでコメンテーターとして出演