そもそも政府は、受動喫煙防止法を、2019年までに施行しようとしている。このタイムスケジュールは、2020年の東京オリンピックに向けたものであり、その前に行われる2019年ラグビーワールドカップをその試金石にするというものだ。
一方、厚生労働省は、受動喫煙防止法の成立後、周知期間を2年程度は必要としており、今秋の臨時国会の冒頭で成立がギリギリのラインと言える。
都民ファーストは、これより前のスケジュールを想定している。9月の定例会において提出・成立を規定路線とし、政府の受動喫煙防止法より早い施行が確実だ。都民ファーストの会は「古い都議会の刷新」を標榜して選挙に大勝した訳で、都民ファーストの会が主導する「新しい都議会」のスピード感を都民にアピールするには、受動喫煙防止対策は絶好の内容なのだ。
一方、都民ファーストの会が掲げる「スモークフリー」な社会のための受動喫煙防止対策には一定の問題もある。それは、「子どもを受動喫煙から守る」という内容。
「子どもを受動喫煙から守る」と聞けば、誰にも反対はないように思われるが、その説明として、「自ら環境を選択できない子どもをタバコの煙から守る東京にしていきます」という一文。これは、家庭内や自家用車内での喫煙について踏み込んだ発言ではないのかとの声が聞こえる。
弁護士であり、今回の都議選で北多摩2区から当選した岡本光樹議員が作成した、受動喫煙防止対策の東京都条例案によれば、「家庭や自動車内で継続的に受動喫煙状態にある子どもを見つけた人は通報できる」とされている。
さすがにこれはやりすぎと思われるが、小池百合子都知事も、朝日新聞のインタビューに「家庭の中まで入り込むというのは私も違和感があるが、車(の中)っていうのはありかもしれない」と、一部肯定的な評価をしている。
東京都の受動喫煙防止対策に関する条例。この条例は「努力義務」ではなく「罰則付き」だ。
喫煙者と禁煙者(嫌煙者)、飲食・サービス業等の事業者、行政。様々な人たちの思惑が食い違う「タバコ問題」。まずは9月早々の都民ファーストの会の動きに注目すべきであろう。
<文・安達 夕
@yuu_adachi>