日本人交換留学生が標的に!中国で起きた悪徳医療機関による海外旅行保険詐欺

国でも日本同様に大学は部外者でも簡単に校舎まで入ることができる(写真はイメージです)

 日本の海外旅行保険は、低価格で好条件な優良保険だ。(参照:HBO)そんな海外旅行保険を悪用するケースが中国で発生した。  日本人も多く滞在する中国の地方都市で日本人留学生を狙った保険金詐欺が起きたのだ。  日本から中国へ留学する日本人は、ピーク時に比べると減少傾向にあるが、現役大学生の交換留学は、まだ一定数行われている。多くの現役大学生は大学側の規定や安全への配慮で、単体の海外旅行保険へ加入してから渡航する。1年間有効の留学生向け海外旅行保険は、おおよそ20万円ほど。または、夏休みや春節休みに帰国するので、半年間有効なものへ加入してくる留学生もいる。  中国では、加入者が保険会社へ連絡して保険会社が病院を手配する方法と指定医療機関が直接、保険会社へ申請する方法が併用されている。そして後者では、実際の治療費の5倍申請するなどの悪徳医療機関も存在しているのだ。

社会経験の少ない留学生が標的

 中国の新学期は3月と9月で、交換留学生は、日本の新学期に近い3月から留学するケースが多い。保険金申請ができる指定病院Aは、アルバイトを雇い大学へ潜入させて、歓迎会開催のビラを配り、留学生を集めた。参加費は無料。さらに無料健康診断も実施すると謳いパスポートを持参させて、その場で、健康診断と称して、保険申請をさせた。  歓迎会の中でS院長は、今後、留学期間中の健康については何でも無料で相談に乗るし、治療も無料でするなどと有り得ない甘言を留学生たちへ語りかけた。その条件として、すぐに対応するためにパスポートを預けることとして、まんまと数人の留学生からパスポートを預かることに成功した。  これが社会人経験がある日本人留学生ならおかしいと気づくだろうし、ましてや海外生活で重要なパスポートを預けたりなんてしない。しかも、中国では原則パスポートは常に所持しておく必要があるのだ。簡単に信用して預けてしまったのは、まだ社会経験も少ない若者だったからかもしれない。
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一度も病気になっていないのに限度額超過!?
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