パチンコ人口が前年比130万人減で過去最低に。だからといってインバウンドに頼るのは愚策である

パチンコ業界が外国人観光客との相性が悪い理由は換金問題

 パチンコとインバウンド。パチンコ業界はインバウンドにチャレンジしてこなかった訳ではない。  確かに、福岡あたりでは、パチンコが目的の韓国ツアー客が大勢いたり、浅草や秋葉原、大阪の心斎橋や札幌のすすきのなど、外国人観光客が大挙して押し寄せる地域のパチンコ店では外国人の遊技客を見かけたりもする。パチンコホールによっては、何か国語もの遊技方法案内パンフが置いてあったり、外国語(主に英語や中国語)を喋れるスタッフを常駐されていたりもする。  しかし、パチンコ店に外国人を取り込むには、越えなくてはいけないハードルがいくつかあり、なかなか困難な現状だ。  一つは、遊技機のゲーム性の複雑さ。何年間もパチンコやパチスロの遊技をしている人でさえ、新台のゲーム性を理解し難いこともある。また一体、最近の傾向としての演出過多の問題もあったり、当たっても玉やメダルが少量しか出なかったりと、ふらりと入店した外国人観光客が、小1時間でパチンコを楽しむのは難しい。  また騒音や煙草の問題もある。パチンコ店における騒音や煙草の匂いは、外国人観光客たちは、日本人よりも敏感に反応する。禁煙後進国と言われる日本。煙草の煙が充満するホールにおいてのパチンコ遊技は、外国人観光客にとって苦痛でしかないだろう。  最近では、騒音対策や、禁煙・分煙等の煙草対策にパチンコホールも乗り出してはいるが、設備投資の費用対効果を考えれば二の足を踏むのが現状である。  外国人観光客をパチンコに取り込むにあたっての最大の障害は「換金システム」をどう理解させるのか、ということ。パチンコは、ギャンブルではない。実際に客の換金行為は行われているが、それは「パチンコ店が与り知らぬ話」であり、パチンコ店が案内や推奨できる立場にはない。パチンコ業界が外国人観光客を取り込めない最大の急所がここなのだ。  真っ当にパチンコを紹介してしまえば、生活用品等の景品との交換を目的としたゲームである。そこに、外国人観光客にパチンコを普及せしめる魅力は皆無。  遊技機のゲーム性の単純化・短時間化。騒音・煙草問題の解決。この二点は十分に改善、解決の余地がある。しかし3つ目の「換金システム」の問題は、パチンコの「換金合法化」がなされない限り、その解決は極めて難しい。  パチンコファンの減少、市場の縮小、規制の強化がなされるなか、パチンコ業界がとるべき新規市場開拓の方向性はどうあるべきか。上記の理由で、少なくともインバウンドではないと思うのだが。 <文・安達 夕 @yuu_adachi
Twitter:@yuu_adachi
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