微表情を顧客アンケートに活用すれば、商品モニターの精度は格段に上がる

次世代アンケート調査を考えよう

 最後に、これからの消費者動向調査に表情分析を加えることの利点とその方法を考えたいと思います。  表情を計測することで、ある商品を消費しているどの瞬間にどんな感情が生じているかを詳細に計測することが出来ます。各感情には感情の機能があるため、表情から感情をとらえることが出来れば、消費者が何を望んでいるかを推測することが出来るのです。  例えば、日焼け止めを肌に塗った瞬間の消費者の表情に嫌悪が浮かんだとします。嫌悪の機能は、不快なモノを除去するです。日焼け止めの触感を、嫌=除去したい、と直感的に感じたのでしょう。同様の効果を持つ日焼け止めが2つのメーカーから販売されているとしたら、嫌悪を感じる触感か嫌悪を感じない触感かだけで、商品の継続的な選択が変わり得ることがわかり、売り上げに影響を及ぼすことが予測できるでしょう。  次に考えたいのが調査方法です。感情や表情分析の専門家が加わり、あらゆる変数が統制された実験質で調査が出来ることがベストです。しかし次善の策として、店頭でも消費者の感情測定は可能です。店頭でサンプル品を配り、その場で使ってもらいます。そのときの消費者の表情を表情を自動検出してくれるアプリで計測します。  どういうシーンでどんな表情をするのか、表情と商品の購入との相関はどうか、表情と口頭による感想との不一致はどうか、こうした情報を蓄積することでマーケティングの世界にこれまでなかった新たな視点をもたらしてくれるでしょう。 参考文献 Matsumoto, D., Hwang, H. S., Harrington, N., Olsen, R., & King, M. (2011). Facial behaviors and emotional reactions in consumer research. Acta de Investigacion Psicologica (Psychological Research Records), 1(3), 441-453 <文・清水建二> 【清水建二】 株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役・防衛省講師。1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でメディア論やコミュニケーション論を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。現在、公官庁や企業で研修やコンサルタント活動を精力的に行っている。また、ニュースやバラエティー番組で政治家や芸能人の心理分析をしたり、刑事ドラマ(「科捜研の女 シーズン16」)の監修をしたりと、メディア出演の実績も多数ある。著書に『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』(フォレスト出版)、『0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』(飛鳥新社)がある。術』飛鳥新社がある。
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