日本政府は、今のところ2015年の日韓合意がすべてであるとし、「慰安婦問題」は解決済みの問題としている。(慰安婦問題の存在そのものに対する議論はあえてしない)
しかし正直なところ、世界的にこの問題に関する日本への風あたりは厳しい。
今年5月。国連の人権条約に基づく拷問禁止委員会は慰安婦問題をめぐる2015年の日韓合意について、被害者への補償などが不十分として、合意の見直しを勧告する報告書を発表したことは余り報じられていない。勿論この勧告に法的拘束力はないが、韓国メディアは、事実上の合意再交渉を求めたと大々的に報じている。
韓国ばかりではない。日本国内においても、「慰安婦問題」は懸案事項になる可能性もある。
日本共産党・紙智子参議院議員が、旧日本軍の「慰安婦」問題に関連する質問主意書を提出した。
これに対する答弁により、今までは「『慰安婦』の強制連行を示す記述のある文書がない」としてきた政府が、紙議員が具体的に指摘した、東京裁判やBC級戦犯の裁判記録の中の「慰安婦問題の強制性」に関わる記述に対し「ご指摘のような記述がされている」とした。同時に、「慰安婦問題」に関わる182点の資料を国立公文書館から入手していたことも明らかになった。
森友学園や加計学園の問題、自民党議員らの「不祥事」、東京都議選での大敗。安倍内閣と与党自民党が国内の問題で大きく揺さぶられるなか、「慰安婦問題」は既に解決済みの問題であるとして、何ら対応をしないのであれば、それは安倍内閣の足元をすくう痛撃となる危険を孕んでいる。
<文・安達 夕
@yuu_adachi>