私は、マネジメントにおけるコーチングとは、マネジャーがメンバーに対して、命令したり押し付けたりしないで、マネジャーとメンバーがお互いの考え方をすり合わせて、方向性の合意をしながら、仕事を進めることをサポートするものだと考えている。
ビジネス活動においては、トップダウンで進めなければならないこともある。しかし、考え方のすり合わせをして、方向性の合意をすることでパフォーマンスが上がることも多い。実際にアクションするのは、メンバーなのだから。
こうしたコーチングの考え方や展開の仕方を学んでいるにもかかわらず、実際のビジネスの場面では、コーチングとは真逆の命令や押し付けがはびこっているのだ。研修の場や書籍を読んでいる時には、わかったと思ったり、よしやろうと思ったり、これは必要だと実感するようだが、いざやる場面になると、行動に反映されないことが、長年繰り返されている。
このように、頭ではわかった(つもりだ)が、行動で再現できない、理屈は勉強したが役立てることができないという事態に陥った理由を、直面したビジネスパーソンは、次のように考えているようだ。
・頭でわかったつもりだが、行動に反映するための方法がわからない
・理論を理解することと、それをアクションするということが、別の能力を用いる
・長年、トップダウンで行動してきたので、コーチングを学んだからといって、すぐに変わらない
・理論は概念的で、包括的なので、具体的なビジネスの場面と乖離がある