「また韓流か」とは言わせない!? 韓国の9人組グループ・Twiceが他の量産型アイドルと一味違うワケ

幅広い年齢層への訴求性と覚えやすい楽曲

 Twice人気の秘密は何なのか? その理由の一つに、対象となる年齢層の幅が広いことが挙げられる。  30代~40代に対しては「育成型アイドル」として、10代~20代に対しては「可愛い系アイドル」として。30代~40代に対しては、番組で成長課程を見せたことで親心のような「親しみやすさ」を与えた。日本のアイドル市場を拡大させた、あの方法である。10代~20代に対しては、個性的なファッションも注目されているが、何といっても楽曲の覚えやすさや、ダンスの真似のしやすさによる普及が目覚ましい。  Twiceの曲はいずれもサビ部分が1度聞いただけである程度頭に入り、さらにはサビ部分の振り付けも簡単に真似できるように構成されている。実際、メンバーのジヒョが「小学生の弟が私たちの踊りを簡単に真似している。」と明かしたこともあり、小学生でも真似できるほど若者には親しみやすく、学校などの日常生活にも取り入れやすい。日本でも流行している、文字で「涙」を表現する「TT(ティティ)」が、その代表格か。  さらには、多国籍グループであることもまた、幸いしていると言える。  そもそも、日本における韓流ブームは、縮小傾向にあった韓国エンタメ業界が新たな市場開拓に向けて仕掛けたもの。日韓の政治的な問題や、国民感情の悪化により、一時のブームは過ぎ去ったが、今でもやはり韓国エンタメ業界にとって日本市場は魅力的だ。  韓国エンタメ業界の新たな刺客でもある「Twice」は、メンバーに日本人も含めることによって、日本市場への新たなチャレンジを試みている。韓流エンタメが強い影響力を誇る台湾に対しても同様だ。したたかな戦略でもある。  しかしこの戦略は、韓国国内においても予想外のメリットを生み出した。日本人や台湾人のメンバーの、たどたどしい韓国語が、ファンたちから「可愛い」と好評だ。 「Twice」の日本デビュー曲でもある「TT」は現在、動画配信サイト「Youtube」において、再生回数2億2千万回を達成(7月7日付)。日本でリリースしたベストアルバム『#TWICE』は、発売からわずか1週間で売上21万枚を突破した。  飽和状態の日本のアイドル市場において、K-POPアイドルはその地位を確立出来るのか。  彼女たちと、彼女たちを取り巻く大人たちの、日本での成功に向けた戦略に注目である。 <文・安達 夕 @yuu_adachi
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