「辞めろ」コールにブチ切れる安倍首相に、自民党議員も困惑
街頭は候補者・弁士にとって器量と機転が試される場
自ら首をしめてしまった首相と官房長官
新米政治家が観衆からのヤジに感情的なリアクションをしてしまうと、たいていは先輩議員から叱られる。「そういう人ほど大事にしろ」と言われるだろう。ましてや政治家のトップである首相が観衆のヤジにブチ切れるなど、あってはならないことである。
菅官房長官は7月3日の会見で、首相の発言は「極めて常識的だ」と断言した。7月5日には、「自民党はこういうこと(ヤジ)はしないという趣旨だったと思う」と“解説”してみせた。が、上記の菅元首相へのヤジグループに自民党支持者が入っていなかったと断言できる証拠はない。それは重々承知のことだろう。
菅氏自身も地方議員からの叩き上げで、選挙の厳しさをよく知っているはずである。あの発言を「常識的」だと本気で思っているとは考えにくい。首相をかばってのことだろうが、そのかばい方に仰天したのは野党の政治家だけではない。ある自民党議員は、こう頭をかかえる。
「安倍さんはこれまでも深く考えずに発言してしまうことが多くて、現場は本当に困惑しています。批判にどう対応するかが政治家の力量の見せどころなのに、あんな感情にまかせたブチ切れじゃ、もともとの支持者すら減らしてしまう。『安倍さんには街頭演説よりも、支持者の集会などで演説してもらったほうがいいのではないか?』なんて声も聞かれます」
その意味では、一番の被害者は自民党かもしれない。安倍首相は、候補者や弁士としては“失格”と言わざるを得ない。
<文/足立力也(コスタリカ研究者。著書に『丸腰国家~軍隊を放棄したコスタリカの平和戦略~』など。コスタリカツアー(年1~2回)では企画から通訳、ガイドも務める) 写真/横田一>コスタリカ研究者、平和学・紛争解決学研究者。著書に『丸腰国家~軍隊を放棄したコスタリカの平和戦略~』(扶桑社新書)など。コスタリカツアー(年1~2回)では企画から通訳、ガイドも務める。
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