巨人アマゾンと善戦するウォルマート。武器はVRも活用する人材育成とEC戦略

photo by Walmart via flickr(CC BY 2.0)

 2017年5月18日、ウォルマートの四半期決算発表(2017年2~4月期)があり、EPS(1株利益)が1.00ドルと前年同期比2%増加し、市場予想(0.96ドル)上回った。売上高は1175億4200万ドルと1.4%増えた。米国の既存店売上高は、来店客数が1.5%増えたことが寄与し、1.4%増加した。 「Walmart.com(ウォルマート・ドット・コム)」など、ウォルマートの米国における電子商取引の成長率は、売上高および取引総額(GMV、Gross Merchandise Volume)が、それぞれ63%と69%増加し、好調であった。  あわせて公表されたEPS(1株利益)予想は、2017年5~7月期が1.00~1.08ドルと見込み、市場予想の1.06ドルとほぼ一致した。米国市場の既存店売上高は、1.5~2.0%の増加となる見通しである。(参照:ウォルマートの四半期決算発表(2017年2~4月期))  多くの百貨店、小売業の業績が冴えない中、ウォルマートは電子商取引、インターネット通販に力を入れることで、業績を拡大させている。

Amazonによるホールフーズ・マーケット買収

 5月18日の四半期決算発表の後、ウォルマートの株価も77ドル台と、2015年5月以来およそ2年ぶりの高値を付けた。さらに、6月上旬には、80ドルを一時超えた。ここまでは、ウォルマートは業績も株価も順調であるように見えたが、6月16日、「あるニュース」をきっかけに、株価は73ドル台まで急落した。 「あるニュース」とは、アマゾン・ドット・コムが米高級スーパーのホールフーズ・マーケットを買収すると発表したニュースである。ホールフーズ・マーケットは、テキサス州・オースティンを本拠とする、グロサリー・ストアチェーンであり、オーガニック食品を数多く取り扱う「自然派高級スーパー」。現在、米国やカナダ、英国で約470店舗を展開している。アマゾンが実店舗を持つスーパーマーケットの事業に乗り出すことで、ウォルマートを始めとする既存のスーパーマーケットや小売の事業が脅威にさらされると見られたため、ほとんどのスーパーマーケット、百貨店、小売業の株価が急落したのだ。  しかし、ウォルマートは他の小売業に比べ、打撃は少なかった。その理由は電子商取引への注力だ。
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強敵「Amazon」との戦い
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