ユーロが上がるとしても、円が同時に買われたらユーロ/円は横ばいとなる。しかし、すべての主要通貨に対してユーロを買っていけば、ユーロが上がればとにかく儲けることができる。競馬で言う「流し買い」だ。
「極端にいえば『ユーロと書いてある通貨ペアなら何でも買っていこう』くらいの気持ちでした。途中、対ポンドでは思ったほど上がらず、一部を損切りしたりナンピンしたりと細かく取引しましたが、対ドルと対円では上がってくれていたので、余裕をもって取引できました」
ユーロを軸にした流し買いを合計数千万通貨。決済したのは取引開始から約1か月後の5月下旬だ。
「ポンドやドルが底堅くなってきたこと、最もポジション量の多かったユーロ/円もいったん天井をつけたようなチャートになっていたことが理由です。このユーロ買い取引だけで数千万円の利益になりました」
末恐ろしい大学生トレーダーだが、タカシくんのユーロトレードはこれから本番を迎えるという。
「長期のマタフを見てもユーロの割安さは明らかですし、そこにテーパリングという強力な燃料が投下されるのだから大きな上昇が期待できます。特に簡単そうなのは対ドルです。アメリカは年内2回程度の利上げを織り込み済みですが、利上げ見送りともなれば一気に売られる。ユーロ/ドルでは直近2年ほどのレンジの上限1.15を上抜ければ、1.40なんて水準が見えてきます」
そのタイミングはいつか? 6月のECB理事会では追加利下げを示唆するフォワードガイダンス(先行き方針)こそ削除されたが、テーパリングについては濁された。
⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=144009
長期マタフを見ると米ドル1 強、円とユーロが2弱も円は一昨年から徐々に上昇。下に取り残されたユ ーロは割安さの改善に期待できる上、テーパリングという特大の買い材料が控えるため大相場の予感が
「カギはBrexit交渉の早期解決と9月に控えたドイツ総選挙。とくにドイツで極右政党が台頭したり、EU離脱といった声が上がれば影響はフランス大統領選以上。Brexit交渉の進展やドイツ総選挙の無難な結果を確認してからテーパリング、マイナス金利の正常化へと進むのでしょう」
夏場にテーパリング期待で買われてもドイツ選挙前には売られやすく、選挙通過でユーロ買いの再開といった流れか。
「そうですね。ユーロのロングをずっとホールドするのではなく、イベント前後で利幅数百pipsの取引を繰り返すイメージです」
今年はユーロ買いに徹すべし!
【タカシくん】
現役大学生トレーダー。投資歴4年ながらこれまでの利益は億を優に超える。政治経済分析と通貨の強弱を重視した独特なスウィングトレードが中心。ツイッターは
@gyo02091995
取材・文/高城 泰(ミドルマン) 図版/ミューズグラフィック