小学生で“死”を覚悟!プロ棋士を目指す子供に立ちはだかる、高すぎる壁

18歳で二段に昇格してもまだまだ遅い

 結局、直裕は兄弟子でもある渡辺明・現竜王と同じ学校へ進むことになる。 「渡辺さんにご紹介いただいたのですが、ここなら事情を説明しなくていいですからね」(寿子氏)  直裕は高校卒業の時点で二段まで昇段していた。プロの可能性は十分あるが、到底安心はできない。  現に「オール・イン」の著者・故天野貴元氏は16歳で三段昇段しながら26歳四段の条件を満たせず、退会に追い込まれている。そう考えると18歳二段は全く楽観できるものではなかった。万一就職する場合を考え、大学進学は石田家において既定路線だった。  大学在学中に、直裕は三段リーグに加わった。余談だが、この三段リーグで藤井聡太四段は「13勝5敗」で一期で勝ち抜いた。逆に言うと、三段リーグとはプロ入り後二十何連勝する強い藤井聡太ですら5回負ける恐ろしい場所なのだ。藤井聡太より明らかに才能が劣る石田直裕が同じく「13勝5敗」で一期抜けするのは不可能だった。 「三段に入ってからも、全然昇段できるような成績ではありませんでしたからね」(寿子氏)  大学卒業の時期を迎えても、まだ直裕は四段に昇段していなかった。ここで、石田親子の地獄の苦しみが始まる。    次回は、棋士の進学・就職事情について追っていきたい。 <文・タカ大丸> 【タカ大丸】  ジャーナリスト、TVリポーター、英語同時通訳・スペイン語通訳者。ニューヨーク州立大学ポツダム校とテル・アヴィヴ大学で政治学を専攻。’10年10月のチリ鉱山落盤事故作業員救出の際にはスペイン語通訳として民放各局から依頼が殺到。2015年3月発売の『ジョコビッチの生まれ変わる食事』(三五館)は12万部を突破。最新の訳書に『ナダル・ノート すべては訓練次第』(東邦出版)。 雑誌「月刊VOICE」「プレジデント」などで執筆するほか、テレビ朝日「たけしのTVタックル」「たけしの超常現象Xファイル」TBS「水曜日のダウンタウン」などテレビ出演も多数。公式サイト
 ジャーナリスト、TVリポーター、英語同時通訳・スペイン語通訳者。ニューヨーク州立大学ポツダム校とテル・アヴィヴ大学で政治学を専攻。’10年10月のチリ鉱山落盤事故作業員救出の際にはスペイン語通訳として民放各局から依頼が殺到。2015年3月発売の『ジョコビッチの生まれ変わる食事』は15万部を突破し、現在新装版が発売。最新の訳書に「ナダル・ノート すべては訓練次第」(東邦出版)。10月に初の単著『貧困脱出マニュアル』(飛鳥新社)を上梓。 雑誌「月刊VOICE」「プレジデント」などで執筆するほか、テレビ朝日「たけしのTVタックル」「たけしの超常現象Xファイル」TBS「水曜日のダウンタウン」などテレビ出演も多数。
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