“2人たどれば大統領にたどり着く”小国イスラエル流ミラクルとは?

狭い社会ゆえの情報伝達の早さは時にミラクルを起こす!?

 会社同士が競合であればよいが、弁護士事務所などは横で繋がっていることも多く、NDA(秘密保持契約書)がない段階では、こちら側の話は、ある程度首尾一貫性を保っていないと、先方に伝わってしまうかもしれないので、ある程度の配慮はしたい。  また、士業などの業界を越えれば、さしてすぐに情報が伝わることはないかもしれないが、日本からの来客というだけで、いろいろなところに伝わる可能性がある。イスラエル人は、安息日があり、週末は一回必ず家族と過ごす人が多く、また、おしゃべりな民族でもあり、必ず電話で誰かで話している点も、情報が速く伝わっていく理由でもある。  また、「狭い」とこんなミラクルも起こる。私は仕事柄、イスラエルとビジネスをしたい会社の相談事に多く載っているが、A社の海外駐在のビジネスマンE氏は、欧州に駐在3年目を迎え、イスラエル企業との協業を検討していた。その中で、イスラエルのあるテクノロジーのイベントで、ミラクルが起こった。  E氏は、当然海外に駐在しているので、英語は全く問題ない。イスラエルのテルアビブから少し離れた場所でのイベントで、イスラエル在住の人しか、わからないようなところでのイベント開催だったこともあり、イベントが「ヘブライ語」で始まってしまった。  E氏は焦った。英語は問題ないが、流石に「ヘブライ語」はほとんど理解できない。  そうなった瞬間に、以前会ったことのあるイスラエル人に「このイベント、ヘブライ語なのでわからない」とメッセージを打ったところ、このイベントで使われている言語が、1~2分後に、「ヘブライ語」から「英語」へ切り替わったのである。なんと、E氏が連絡を取った彼は、このイベントの主催者か、発表者が偶々知り合いだったかはわからないが、連絡を取ってくれたようである。イスラエルの「狭さ」が理由で起こったミラクルの1つである。  同じようなことが日本で起こったとしても、日本語で話しているイベントが英語に切り替わることはまずないだろう(笑) <文・加藤清司> 【加藤 清司】 株式会社イスラテック代表取締役。1980年静岡県浜松市生まれ。2006年、「ある技術」に注目しそのルーツを調べ、イスラエルへと旅立ち2か月過ごす。現在、日本を代表するテクノロジー企業を対象に、イスラエルのスタートアップとのアライアンスを支援。2017年1月、『スタートアップ大国イスラエルの秘密』を出版。
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