トランプ政権を牛耳る「対日強硬派」の正体
2017.06.17
「24年間務めたロスチャイルド系企業を退社した彼は、自身の投資会社を設立しているが、これが典型的なハゲタカ・ファンド。例えば’08年のサブプライム危機の際には、ヘッジファンドから多くの資産や債権を次々に買い叩き、その後、市場が平穏を取り戻すとすぐに売却して大儲けしている。こうしたハゲタカ的手法で、日本を食い物にする気でいるはず」
ちなみにロスが長官就任前に開示した彼の個人資産は380億円に達している。
そしてもう一人の“牙”としてフルフォード氏が名指しするのが、米国通商代表部(USTR)代表のロバート・ライトハイザーだ。
「USTRといえば’80~’90年代から『日米貿易摩擦』という名の経済戦争で、アメリカの利益代表機関としてタフ・ネゴシエーターを演じたことで記憶している方も多いはず。そのトップであるライトハイザーこそ、この時代、レーガン政権下でUSTR次席代表を務め、日本製品に対する輸入抑制を主導して日本側に鉄鋼の輸出自主規制を飲ませた張本人。そんな彼を再びUSTRに、しかもその代表として復帰させたトランプの念頭にあるのはこれから始まる日本や中国をはじめ、各国と始まる「二国間交渉」にほかならない。そんなトランプの意向の下、彼が就任直後に議会に提出した『2017通商政策課題』には、アメリカの貿易主権を擁護し、二国間交渉を進めていくと明記されている。これは過去20年間にわたるアメリカの通商政策を全否定し、新たにアメリカ中心の貿易体制を構築するというもの。そのうえで、『農業分野の市場拡大は、 日本が第一の標的』と名指しして宣言しているのです」
こうしたなか、アメリカによる日本の“属国化”が強化されるという。
「クリントン政権下では、USTRによる交渉で当時の宮澤喜一内閣に規制緩和の実行を飲ませた。以降、これに基づく『年次改革要望書』という、アメリカから日本への事実上の命令書を民主党に政権交代する’08 年まで毎年出してきた。この命令によって日本では、独占禁止法の解禁や郵政民営化、人材派遣の自由化など“構造改悪”が行われた。また、日本人が長年蓄えてきた資産の多くも吸い上げられることとなった。この年次改革要望書が、トランプ政権下で復活させようとする動きもある」
日本はいよいよ、これまでのアメリカ追従を見直すべきときに来ているのではなかろうか?
暴利を貪るウォール街を批判することで白人労働者の支持を獲得して当選したトランプだが、彼が布陣した政権はゴールドマン・サックス(GS)の“傀儡”と揶揄されるほど、GS出身者が多い。
代表格が、財務長官のスティーブン・ムニューシンだ。彼はGSで上級役員にまで上り詰め、在籍17年間で総額50億円の報酬を得ている。
また、経済担当補佐官・国家経済会議委員長のゲイリー・コーンは、政権入りする前までGSの社長兼共同COOの座にあった。同社を離れるにあたり彼に支払われた退職金は1兆円以上といわれている。さらに、首席戦略官・大統領上級顧問のスティーブン・バノンや、SEC委員長ジェイ・クレイトンもGS出身だ。
また“乗っ取り屋”として名高いカール・アイカーン(規制改革特別顧問)などもおり、トランプ政権の経済・金融面での政策が「富裕層に有利」になることは間違いなさそうだ。
取材・文/奥窪優木 写真/AFP=時事
トランプ政権を牛耳るゴールドマン・サックス
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