個人向けカードローン破産――自主規制強化だけでは解決しない
2017.06.15
メガバンクが、「個人向けカードローン」の自主規制強化に乗り出した。
銀行が無担保で個人に融資するカードローンは、’10年の貸金業法改正で、年収の3分の1を超える融資を禁止する「総量規制」が導入されたが、銀行は対象から外されていた。
その結果、銀行の貸付残高は6年連続で増え続け、’16年末には5兆5000億円に達した。今回の自主規制で、過剰融資による多重債務者や自己破産は減るのか? 聖学院大学政治経済学部の柴田武男教授は、懸念を隠さない。
「銀行を批判するだけでは事態は解決しない。背景には、マイナス金利で住宅ローンや企業貸付といったコアビジネスが儲からなくなり、高金利の個人向けカードローンで収益を上げたい……という銀行の経営環境がある。過剰融資は問題外だが、銀行にも被害者の側面があるのです。特に、地銀は深刻で、地域の固定客をカードローンで食い潰せば、地方経済は回らなくなってしまう。タコが自分の足を食べるようなものですが、そうせざるを得ないほど追い込まれている」
一方、利用者側にすれば、規制強化は、目先の現金の供給源を奪われることになる。
最近、フリマアプリに「現金」が出品された騒動がいい例だろう。
「若者の貧困化が進み、頼りにしたカードローンが規制されれば、ネットオークション。それが禁止されればSuicaなどの出品と、かえって高コストの借金に手を出してしまう……。国にもセーフティネット貸付という制度があるが、家計管理を条件に融資をしてくれる制度が生協や信金、信組にあるので、利用して生活改善を試みてほしい」
<取材・文/HBO取材班>
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