世界で最もスタートアップが盛んなイスラエルでは、日本の商習慣は一切通用しないという
イスラエルと言えばパレスチナとの内戦で有名だが、実はシリコンバレーを凌ぐ勢いでスタートアップが盛んであることは、すでに世界の常識となっている。
グーグル、アップル、マイクロソフト、インテル、フェイスブックといった名だたるグローバル企業が次々と進出して研究開発拠点を開設。人口800万人という小国ながら約6000のスタートアップ企業があり、国民1人あたりのベンチャー投資額が世界一の「スタートアップ国家」として世界に知られているのである。
このイスラエルで10年前より、ハイテク企業の調査、コンサルティングを日本企業向けに提供してきた筆者・加藤清司が、この場を借りてその勘所をお伝えすることとなった。事業のさらなるグローバル化を目指す読者の参考になれば幸いである。
昨年2016年は、年5回程度、30社以上現地の企業へ訪問しミーティングを行ったが、イスラエルの現地企業とミーティングする前に、知っておきたい彼らの特徴の1つは、「イスラエル人と日本人は、180度異なる」ということだ。
例えば、日本人は、物事を回りくどく言う傾向にあり、イスラエルは、全て率直にストレートに発言する。両国の文化的な背景もあり、流暢な英語で話しても、何を言っているかわからないと、イスラエル人は、すかさず会話に割り込んでくる。
「つまり、あなたたちは何が聞きたいのか?」
こんなイスラエルの人々たちと話すときのコツは、いくつかあると思うが、日本語を英語にして話すのでではなく、しっかり目的を考えてから英訳したり、ミーティングの前にまず今回の「訪問目的」を冒頭にお互いクリアにしておいたりすることだろうか。
そうすれば、同じ質問をしても話がスムーズになる。
また、なぜ、ミーティングを行うか。
ミーティングの目的についても、日本とイスラエルでは異なる。日本では、単純に挨拶をする表敬訪問は、イスラエルでは、「他の物事より優先度が低い」という理解をされ、表敬訪問目的のアポは断られやすいので要注意だ(賢いイスラエル人は、日本人が何の目的もなく表敬訪問をすることを知っていても、それでも断ってくる)。