メンタル不調者が続出する組織の共通点。1万人以上面談した産業医が指摘する「みる技術」とは?

 昨今、クレームに関する報道を目にする機会が増えました。勤務中にうどん屋に立ち寄った消防隊員が通報されたり、電車の運転士がクレームを恐れ、水分補給もできず熱中症・脱水症状に至ったり。他人の目を多少、気にすることが必要な場合もあります。しかし、それが高じて、身体の危険をもたらしてしまうことは度が過ぎていると言えるのではないでしょうか?

photo by はむぱん

 もちろん、世間の全ての人がこのようなクレームを挙げているわけではなく、ある調査では前述の消防隊員たちに対し、約9割が「勤務中でも正当な理由があれば消防車で食事に行くことは許容すべき」と答えています。同じ事象に対し、怒りやわだかまり、クレームなどをSNSに投稿する人と、しない人。その違いはどこにあるのでしょうか。  これまで1万人以上を面談してきた産業医の私から見ると、会社組織内でも同じようなことが日常的に起きており、社内の派閥(仲良しグループ)で対立していたり、逆にコミュニケーションが円滑で良好だったりする組織にも通ずる事象だと、私は考えます。  クレームを挙げない人が持っているのは「みる技術」です(なぜ“みる”が平仮名なのかは後述します)。「みる技術」を持っている人は、すぐにクレームをつけたり、同僚に怒りません。逆に、この技術がない人ばかりの部署では、えてしてメンタルヘルス不調者が続出するという傾向があります。  今回はコミュニケーションが円滑になされている組織の人たちの、「みる技術」についてお話しさせていただきます。
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コミュニケーションの基本は“見る”ことから
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