庶民の味方[ふるさと納税]は規制でどうなる?
2017.06.05
サラリーマンでもできる節税方法として圧倒的人気だった「ふるさと納税」だが、総務省が「3割規制」を要請し、曲がり角にきている。各自治体の対応を緊急調査した
近年、サラリーマンでもできる最強の節税方法として活用されてきたふるさと納税だが、“改悪”の兆しが出てきた。4月、総務省が全国の自治体に「寄付額に対して返礼品は3割以下にする」「換金性の高いもの、資産性の高いもの、高額なものを返礼品として送付しない」ことを要請したためだ。
ふるさと納税では1万円の寄付に対し、平均約4000円の返礼品がもらえる。例えば、ある地方に5万円の寄付をすると、お礼として約2万円の返礼品がもらえるのだ。同時に、4.8万円の住民税・所得税が控除され、実質2000円の負担で特産品がもらえるとあって、人気の制度となった。
その一方で、各自治体がより多くの寄付を集めようとし、返礼品競争が過熱している。豪華な特産品を用意するため、調達価格が高騰し、医療や教育、住民サービス向上といった本来の目的のために寄付金が使われていないケースが増えているのだ。また、一部の自治体では、還元率の高い券類や、高額な家電などを返礼品に加えていることも問題視されている。
そこで、総務省が「3割規制」を要請したのだ。この規制でふるさと納税はどう変わるのか?
’15年度の寄付金額が多い上位28自治体にアンケートを実施。23自治体から回答をもらった。まず、「還元率3割以上の返礼品はありますか?」という質問をしたところ、すべての自治体で取り扱いがあることが判明した。もっとも多かったのは「牛肉」「米」「お酒」で、この3ジャンルには18自治体で還元率3割以上の品があった。「果物」「野菜」なども多かった。
⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=141745
続いて、「還元率3割以上の返礼品は見直ししますか?」という質問に対し、23自治体中22自治体が「見直した・見直している・見直す予定」と回答。総務省の要請に反し、「見直さない」と回答したのは、たった1自治体だった。
見直す方法は、個数や枚数など、ボリュームを減らして3割となるようにしたり、お米のように袋の大きさが決まっているものは寄付金額を上げることで3割に抑える自治体が多いようだ。
⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=141746
ただし、総務省は「各自治体の良心に任せる」というスタンスで、3割に収まっているかを確認するわけではない。また、調達価格は「仕入れ価格ベース」という自治体が多いが、「3割」の基準が定まっていない自治体もあり、「価格変動しやすい食品については一律3割と縛るのは難しい」との意見もあった。総務省がどこまで強制力をもって足並みを揃えさせることができるかは不透明で、寄付する側からすれば、食品に関しては以前と変わらずお得な返礼品が残っていきそうだ。
サラリーマン最強の“節税策”に激震!
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