エレクトロンは小型ロケットよりもさらに小さい、超小型ロケットである。後ろに立つ人と比べると、その小ささが際立つ Image Credit: Rocket Lab
現在、小型・超小型衛星を打ち上げる方法には大きく3つがある。
ひとつは、大型の衛星を大型ロケットを打ち上げる際に生まれる隙間に相乗りするという方法、もうひとつは他の小型・超小型衛星と打ち合わせて、大型ロケットにまとめて載せて打ち上げるという方法、そしてもうひとつが、無人補給船で国際宇宙ステーションまで運び、そこから宇宙に放出するという方法である。
この方法はどれも、打ち上げる時期や、衛星を投入する軌道を自由に選ぶことができない。もちろんそれでも問題ない場合もあるが、衛星の目的によっては軌道の高度や角度といった条件が厳密に決まっているため、衛星を産業利用しようとしたり、科学的な観測や実験をおこなったりといった、目的がはっきりしている場合はとくに都合が悪い。
たとえば、前述したワンウェブの衛星はまず大きなロケットで一度に複数の衛星を打ち上げるものの、運用中に1機が故障し、その代わりとなる代替機を打ち上げなければならない場合、他の衛星の打ち上げを待ったり、軌道が自由に選べないとなれば、とても使い物にならない。地球を観測する場合でも、いつ、どこを観測できるかは、軌道の高度や角度が重要になるため、ただ宇宙に打ち上げればよいというものではない。
そこで、小型・超小型衛星を1機や2機単位で打ち上げられる、小型衛星専用の小さなロケットが求められるようになったのである。