クシュナー氏はビジネス上はロシアと近いものがありました。ただ、クシュナー氏はビジネスマンだったわけであり、政治的にはロシアと密接な関係はありませんでした。
そんな中、政治的に間に入った人物が、フリン氏となります。キスリャク駐米大使との面談、ゴルコフ頭取との面談、フリン氏が間にいたからこそ実現した話です。
ロシア→フリン氏→クシュナー氏→トランプ氏
という大きな流れが形成させつつあったわけです。
しかし、フリン氏解任で、この流れに問題が生じます。政治的にロシアに一番近い人物がいなくなったあたりから、ロシアとの関係はかなり歯車が狂い始めています。
そんな最大のキーマンであるフリン氏は、今危機的状況にいます。議会上院の召喚状を受け取り、知ってることを話さないといけない状況になったかと思いきや、フリン氏はこの召喚を拒否。
刑事訴追を免れる保証が得られれば協力するとされていますが、関連文書の提出を拒み、召喚も拒んでいるあたり、フリン氏はグレーゾーン(もしくは完全なクロ)の関係をロシアと持っていた可能性が高いです。もしくは、フリン氏は別の暴露話を持っている可能性もあります。
なお、思い起こしていただきたいのですが、コミーFBI長官解任前、トランプ氏は、フリン氏への捜査中止を要請しています。トランプ氏にとっては、フリン氏はクシュナー氏のように、身内ではありません。裏切り行為なども残されているわけで、フリン氏を追及され続けるのは得策ではないとの見方もできます。
今後は、フリン氏の角度から、トランプ陣営とロシアとの関係が明かされる可能性が残っているといえます。
当然ですが、トランプ氏とクシュナー氏の間では、ロシアに関するコミュニケーションはかなり密に行われていたとみるのが妥当です。
クシュナー氏はトランプ氏とロシアの関係も知っているでしょうし、トランプ氏がロシアとどう関わっていきたいのかも、一番把握している人物となります。
現在クシュナー氏はFBIの捜査対象となっていますが、クシュナー氏に関していえば、どこまでロシアのハッキング問題について「知っていたか」、ここが最大の山場となります。クシュナー氏が知っていたとなれば、ではトランプ氏も知っていただろう、という展開も予想されます。
フリン氏、クシュナー氏、両者の動きが、トランプ氏の未来を左右するといえます。
<文/岡本泰輔>
【岡本泰輔】
マルチリンガル国際評論家、
Lingo Style S.R.L.代表取締役、個人投資家。米国南カリフォルニア大学(USC)経済/数学学部卒業。ドイツ語を短期間で習得後、ドイツ大手ソフトウェア会社であるDATEVに入社。副CEOのアシスタント業務などを通じ、毎日、トップ営業としての努力など、経営者としての働き方を学ぶ。その後、アーンスト&ヤングにてファイナンシャルデューデリジェンス、M&A、企業価値評価等の業務に従事。日系企業のドイツ企業買収に主に関わる。短期間でルーマニア語を習得し、独立。語学コーチング、ルーマニアビジネスコンサルティング、海外向けブランディング、財務、デジタルマーケティング、ITアドバイスなど多方面で活動中。