photo by Gage Skidmore via flickr(CC BY-SA 2.0)
不法移民排斥を主張するドナルド・トランプが大統領になってから、米国で不法移民の摘発そして本国への強制送還についての話題が注目を集めるようになっている。
不法移民の40-45%は一時入国ビザで空港から入国し、その後ビザの有効期限が切れても米国に留まり不法移民になるというのが事実で、米国とメキシコの国境を越境して不法入国する者は少ないという。
その僅かの越境者の密入国を阻止するために220億ドル(2兆4400億円)近くの資金を投じてまで両国間の3000㎞に壁を設けることに反対する米国民は多くいる。
この無駄を最初に指摘して話題になったのは米国のスペイン語放送で常に最高の視聴率を維持しているマイアミを本社に置くUnivisionのニュース番組ディレクターでメキシコ移民のホルヘ・ラモスである。彼がトランプの大統領選挙戦中に当時のトランプ候補との記者会見での質問が思い出される。それは次のような質疑応答であった。
ラモス「一つだけですが、質問があります」「移民についての貴方のプランです」
トランプ「OK」「次の質問者は?」
ラモス「トランプさん、一つだけ質問なのです」
トランプ「誰も貴方に質問してくださいと言っていない」「お座りください」「お座りください」「お座りください」
ラモス「No、No、No」「私は一人の市民で、移民者です」
トランプ他の記者を指さして「どうぞ(ご質問ください)」
ラモス「私には質問する権利があります」
トランプ「いや、その権利はありません」「誰も貴方を指名していない」
このようなやり取りが両者の間で交わされた後に、ラモスはトランプの指示でボディーガードに連れられて記者室から退席させられるのである。その時にラモスは「1100万人を強制送還することなどなど出来やしない」「1900マイル(3000㎞)の壁をあなたが建設することなど出来ない」と声高に言って退席したのであった。