次にインタビューに答えてくれたのは、歌舞伎町のホストクラブで内勤として働くYさん。
「ここ数年で、店の内装が大きく変わりました。以前は客席をパーテーションで仕切っていたのですが、東京五輪に向けた歌舞伎町の浄化作戦により、1メートル以上のパーテーションや背もたれはすべて撤去されました。仕切りがないと会話が筒抜けになってしまうので、今までのように高額ボトルが煽りづらくなりましたね」
五輪に向けて撤去されたホストクラブのパーテーション
原則として、ホストクラブやキャバクラは客席の見通しを妨げる1メートル以上の仕切りを設けることは禁止されている。昔はこうした内装でも多少黙認されていたというが、年々取締りは厳しくなっているようだ。
Yさんにメニューを見せてもらう。リシャール220万、ルイ13世180万、ヴーヴクリコ9万円と、数年前の1.5~2倍の値段になっており、今ではほとんど出なくなったというドンペリはメニューから消えていた。一体、今はどのような酒が人気なのだろうか。
「最近は暗い店内でも目立つスパークリングワインが人気ですね。値段も5万円程度とリーズナブルですし、インスタに載せたいという理由で注文するお客様も多いですよ」
見せてくれたのは、振るとオーロラのように濁るマバムグラシアとラメ入りのプラチナムフレグランスというスパークリングワインだ。キャバクラ嬢を中心に人気に火がついたという。
ラメが輝くと人気のスパークリングワイン「プラチナムフレグランス」
「昔に比べると、ホストクラブも随分変わりましたね。酒が値上がりした分、店側も色々工夫しています。オリジナルシャンパンを作って発注代を安く抑えたり、発泡酒や缶チューハイを置いたり……、ホストクラブで缶チューハイなんて昔では考えられなかったですよ(笑)」
今時のホストはスーツではなく私服接客
コマ劇の閉館から始まり、東宝ビルのゴジラ建設、グリーンプラザ閉館だけでなく、ホストクラブも10年間で大きく変わっていた。東京五輪まであと3年、その時、ホストクラブはどうなっているのだろうか。<文・カワノアユミ>