ワンウェブはジェフ・ベゾス氏率いるブルー・オリジンと、衛星打ち上げで契約している(左がワンウェブのワイラー氏、右がベゾス氏) Image Credit: Blue Origin/Jeff Bezos
今回明らかにされた構想では、今年の後半にも試験機となる衛星を打ち上げ、2024年に衛星インターネットの完成とサービス開始を予定しているという。
一方、ワンウェブは今年から衛星の打ち上げを始め、2020年にもサービスを開始したいとしている。さらに、ソフトバンクなどからの出資を得たことから、打ち上げる衛星を2000機追加する計画も明らかになっている。この追加の2000機は、スペースXの追加の7500機と同じように、より大容量の通信ができる周波数帯を使うとされる。
ワンウェブはまた、ソフトバンク以外にも、エアバスやコカ・コーラなどの大手からの出資も得ており、最近では衛星通信大手のインテルサットとの合併の話も出てきている。衛星を製造する工場の建設も進んでおり、ロケット会社との打ち上げ契約も着々と結んでいる。
スペースXはやや出遅れている感もあるが、一方で同社には、打ち上げに使うロケットも衛星もすべて、自社の中で一貫して開発、製造でき、またGoogleとタッグを組んでいるという強みがある。
スペースXとワンウェブ、はたしてどちらが覇権を握るのか、それとも競争しながら共存し続けることになるのかはわからない。そもそも、多数の衛星を打ち上げ、運用、維持し続けるには、技術的な課題もまだ多い。それでも彼らの壮大な構想は着実に前に進み、全人類がインターネットでつながる日が近づいてきている。
<文/鳥嶋真也>
とりしま・しんや●作家。宇宙作家クラブ会員。国内外の宇宙開発に関するニュースや論考などを書いている。近著に『イーロン・マスク』(共著、洋泉社)。
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【参考】
・Investing in America’s Broadband Infrastructure: Exploring Ways to Reduce Barriers to Deployment – Hearings – U.S. Senate Committee On Commerce, Science, & Transportation(
https://www.commerce.senate.gov/public/index.cfm/hearings?ID=98C6FDC4-B916-41FA-A78A-80E6D513E652)
・SpaceX Testimony Senate Commerce Committee Broadband Rev.05.01.2017(
https://www.commerce.senate.gov/public/_cache/files/6c08b6c2-fe74-4500-ae1d-a801f53fd279/655C5CBED75A50881172C1E9069D91E6.testimony-patricia-cooper—broadband-infrastructure-hearing.pdf)
宇宙開発評論家。宇宙作家クラブ会員。国内外の宇宙開発に関する取材、ニュース記事や論考の執筆などを行っている。新聞やテレビ、ラジオでの解説も多数。
著書に『イーロン・マスク』(共著、洋泉社)があるほか、月刊『軍事研究』誌などでも記事を執筆。
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