先ほどスーダンのそばに、ナジンとファトゥという2頭のメスのキタシロサイがいることを述べたが、実は彼、彼女らは高齢で自然繁殖ができる状態ではない。繁殖の期待ができるシロサイのメスは現在およそ1万7000頭いるが、オスは1頭しかおらず、キタシロサイは絶滅の危機に瀕しているのだ。
「現在、キタシロサイが直面している危機は、人間が長い間地球上の何千種類もの生き物たちに及ぼしているネガティブなインパクトに対する警鐘です。繁殖のため、これまであらゆる手段を尽くしてきましたが、すべて失敗に終わりました」
オルペジェタ自然保護区のリチャード・ビーンCEOはこのように語る。しかし、今回、キタシロサイの絶滅の危機を防ぐため、前代未聞のキャンペーンが始まった。
なんと4月26日よりマッチングアプリ「Tinder」に、スーダンが登録されたのだ。彼を右にスワイプすると、スーダンが住んでいる
オルペジェタ自然保護区のホームページへ接続され、研究のための寄付をする手続きができるのだ。
今回のキャンペーンでスーダンとマッチングした「Tinder」の画面
オルペジェタ自然保護区は、スーダンの子孫を残すために、各機関が現在共同で行っている介助生殖技術(ART)の研究を完成させる資金を必要としている。キャンペーンの目標となる資金は900万ドル。研究が成功すれば、この技術(特に体外受精)により妊娠を後押しすることができ、科学者による初めてのサイの人工繁殖が可能となる。