第二次トランプ相場到来?「1ドル=120円」の円安第2幕が始まる

相場

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 4月の為替市場は108円まで円高が進行、トランプラリーの起点となった105円台が間近に迫ってきた。このまま円高が続くのか、あるいはトランプラリー第二幕が始まるのか。メルマガ「西原宏一のシンプルFX」のサポート配信で定評のある竹内典弘氏に見通しを聞いた。

「人質」をとられたトランプにドル安の選択肢はない

「ドルは強くなりすぎている。最終的には害をもたらす」とトランプ大統領はドル高への懸念を示しています。しかし、トランプが何を言おうとドル高にならざるを得ません。理由のひとつが、アメリカは世界最大の債務国であること。中国や日本は1兆ドルを超える膨大な米国債を保有しています。アメリカに対して人質を抱えているようなものなのです。  ドル安が進めば、海外の米国債保有者は為替差損を抱えることになります。あまり損失が膨らむようなら投げ売りするかもしれない。また、大統領自らが通貨安へ誘導しようとしている国の債券を買っても為替差損を被ることが明らかですから、米国債の入札がフェイル(入札の不成立)する可能性が高まります。アメリカにとって通貨安政策は米国債暴落を引き起こしかねない危険な政策なのです。  もし米国債が暴落すれば市場金利は急騰し、株価は暴落を余儀なくされるでしょう。いくらトランプ大統領とはいえ、そんな選択肢を選ぶとは思えません。

「50bp利上げ」のサプライズはあるか

take010102 一方で、アメリカの景気拡大局面は94か月目に入りました。これだけ景気が強いとFEDは金利を引き上げざるを得ません。3月の失業率も10年ぶりに4.5%まで低下しました。完全雇用といっていい状態です。1960年代、失業率が4.5%を割ったことがありました。当時、FEDは政策金利の低め誘導を崩さず、結果、消費者物価指数が6%を越えてしまったことがあります。  FEDも今回は同じ轍を踏みたくはない。いくらトランプ大統領が「正直になろう。私は低金利政策がとても好きだ」と口を挟んでも、粛々と利上げを進めていくでしょう。次回の利上げは6月、その次は9月ではないかと見ています。ただ、すでに3度の利上げを行ない、為替市場では利上げに対する感応度が低下しています。市場へのインパクトという面では、25bp(0.25%)の小幅な利上げではなく、可能性は低いですが50bp(0.5%)の利上げ観測が浮上してくれば起爆剤となり得ます。
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「麻生ライン」をめざした円安が始まる
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