昨年度の返済猶予後倒産は430件となり、2013年度以来、3年ぶりに前年度比増加に転じている。返済猶予後倒産とは、中小企業の資金繰りを助けるための中小企業金融円滑化法を利用して、返済猶予を受けたにもかかわらず、倒産するケースのことを指す。
これは元本の返済余力に乏しい企業が抜本的な経営改善計画を策定することは難しいためであり、経営者の高齢化などを背景に事業継続を断念するケースが多いという。
さらに2016年度は中国経済減退の煽りを受けた「チャイナリスク関連倒産」が116件も発生している。これは集計を開始した2014年度以降、2年連続の増加で、過去最高となった。年度半期ベースでも、2015年度上半期は41件だった倒産件数が、2016年度下半期は62件も発生するなど急増していた。
中国経済の成長鈍化が懸念されるなか、現地子会社や取引先企業の業績悪化といった要因だけでなく、国内では人件費の高騰などのリスクが日本企業の経営に影響を与えている。
2016年度は倒産件数自体は減少傾向にあるものの、チャイナリスクなどのマイナス要因もあり、減少幅は2年連続で縮小している。国内企業の動向にこれからも注視していく必要があるだろう。
【参照】
帝国データバンク「
全国企業倒産集計 2016年度報」
<取材・文/HBO取材班>