産業別で倒産件数が多かったのは、「サービス業ほか」が63件と、全体の35.3%を占めていて最も多く、次いで建設業が26%、製造業が25件、卸売業が20件という結果だった。最も少なかったのは金融・保険業の1件だった。
この結果を、東京商工リサーチは「企業にコンプライアンス順守の意識が浸透すると同時に、緩やかな景気回復と金融機関が中小企業のリスケ要請に柔軟に応じるなどの政策効果もあって企業倒産を抑制しており、コンプライアンス違反企業の経営破綻が表面化するケースが少なくなっているとみられる」と分析。
しかし、その一方で「中小企業は大手に比べ業績回復のピッチが鈍く、今後の景気動向によってはコンプライアンス違反が露呈して経営破綻するケースが増える可能性も残している」と留意を促している。
景気動向の回復に伴い、コンプライアンス違反が原因の倒産件数自体は減少傾向にあるものの、企業規模や産業別による歪みはいまだに存在している。コンプライアンス違反がないかどうか、これからも念入りに注視していく必要があるだろう。
【参照】
東京商工リサーチ「
2016年度『コンプライアンス違反』倒産動向」
<取材・文/HBO取材班>