しかし短期的にここまで急騰していると、手を出しにくい。高城氏は急落局面を待って投資し、中長期で2倍になるのをじっくり待つのも手だと話す。
「早ければ今月中に投資チャンスがやってくる可能性も。近年ビットコインの取引が増大し、取引承認に時間がかかったり手数料が高騰していることから、ふたつの仮想通貨に分裂することが懸念されています。すでに世界の取引所がこの問題に関する共同声明を発表しており、分裂は現実味を帯びてきています」
ビットコインはこれまで、マウントゴックス事件をはじめ数多くのショックを乗り越えてきた。たとえこの分裂問題で暴落しても一時的で、深刻な状態にはならないと高城氏は予想する。押し目買いの目安は、マウントゴックス事件後の安値から直近高値の38.2%戻しとなる850ドル近辺という。
ビットコインは土日にも取引が可能で、値動きも非常に大きいためデイトレードにも向いているという。
「ただしトレンドが極端で、上にも下にも暴走する傾向が強いので、安易な逆張りは禁物です」(同)
法律のお墨付きを得て、ビットコインの普及はもう時間の問題になっているとも考えられる。認知度が低い今のうちに仕込んでおけば、資産倍増も夢じゃないかも?
仮想通貨はビットコイン以外にも数多く存在しているのだが、中には詐欺まがいのものもありトラブルが多発しているのだとか。前出のX氏はこう警告する。
「FXの情報商材を販売するような人がセミナーなどで売っているのですが、そのほとんどが無価値なので注意が必要です」
さらに、マルチ商法まがいの案件が、SNSを中心に拡散しているという。
「ハイプ(HYIP)と呼ばれるもので、ビットコインを貸し出せば一日5%の収益が入るなどとうたって勧誘しているのですが、利益が出るのは最初だけ。最後はハイプ自体が破綻し、看板をかけかえて同じことが繰り返されているのです。初期に参加した人は利益を得ることもありますが、胴元以外の大多数は損をします」
なかには雑誌などに広告を掲載して安心感を誘うものもあるが、仮想通貨で詐欺被害に遭わないためには「ビットコインだけを取引所で買う」のが鉄則だ。
1:利用する取引所を選ぶFXのようにレバレッジ取引が可能なところもあるので、希望する場合は対応状況とレバレッジ上限を確認しよう。アカウント開設や管理は無料なので、複数の取引所を利用してもOK。
2:アカウントを開設する取引には本人確認資料などが必要。画像のアップロードに対応するところが多く、手続きはネット上だけで完結できる。
3:取引スタート入金が完了すれば取引を始められる。取引所のウェブサイトや取引ツールでは、株価のように注文の気配値が表示され、指値注文も可能。取引所によっては、「取引所」と「販売所」に分かれている場合があり、前者は投資家同士で売買し、後者は取引所から購入するしくみになっている。販売所のほうが手続きは簡単だったり、クレジットカードで購入できたりするので便利だが、価格は取引所よりかなり高くなる。
【X氏】
証券アナリスト。ビットコインの将来性にいち早く目をつけ、嫁の口座で3 年で純利300万円を稼いだ証券アナリスト。社内規定のため匿名を条件に登場
【高城 泰氏】
金融ライター。FXや仮想通貨に詳しく、小誌をはじめマネー誌などに関連記事を多数執筆。著書『
ビットコインから始まる真のIT革命 ヤバイお金』(小社刊)
取材・文/森田悦子