韓国の報道では「日本の極右団体」と表現されているGHATの主張はさておき、この「慰安婦像」問題は韓国にとっても「引くに引けない」案件になっている。
言うなれば、「慰安婦像」にとっては、韓国のイデオロギーと化しつつあるのだ。
国民が選び期待した韓国初の女性大統領は国事と私事の境目を亡くし失脚した。
彼女を大統領の座から引きずり下ろしたのは、彼女を選んだ国民たち自身であった。韓国経済の隆盛を支えてきた財閥構造も崩壊した。韓国最大財閥の総帥の腕には手錠が掛けられた。かつては、その財閥企業の一員となるため世界一とも言われる受験戦争すら戦ってきたというのに、だ。
韓国は、かねてより社会運動の機運が高い国家である。
しかしその運動は、ある意味においては自己否定の様相も呈す。その中で、自己ではない相対する明確な「敵」として「右傾化する日本」(少なくとも韓国での認識はそうである)があり、「慰安婦像」もとい「平和の少女像」はその象徴の最たるものとなっている。
慰安婦に関する日韓合意は新大統領選出後、10億円の返還をもって白紙化される可能性が高まってきた。このまま日韓双方の溝はより深まるだけなのだろうか……。
<文・安達 夕>